宅建業免許をこれから取得しようとお考えの方、すでに取得して宅建業を営んでいる方、どちらも避けて通れないのが「専任の宅地建物取引士の設置」です。
ご自身で宅地建物取引士の資格を持っていない場合は、専任の宅地建物取引士を務めてくれる人を探すことになります。
この「専任の宅地建物取引士を就任・交代させる手続き」は、新規で免許を取得する場合はもちろんのこと、すでに宅建業を営んでいる場合でも専任の宅地建物取引士が退職し新しい人を入社させるといった場合にも必要となる手続きです。
専任の宅地建物取引士の就退任は事務所の移転や商号の変更等と比べて生じる頻度が高く、宅建業免許にまつわる手続きで最も行うことが多くなる手続きと言えるでしょう。
しかしながらこの手続きは仕組みが少々複雑で、きちんと理解していないと間違いが非常に起こりやすいです。
間違いが生じると手続きが止まってしまいますので、そうこうしているうちに手続きを行うべき期限を過ぎてしまっていたなんてことにもなりかねません。
専任の宅地建物取引士を就任・交代させる場合にはどのような点に気を付けるべきなのかを解説していきますので、ご活用いただければと思います。
ポイントその1:その人は「宅地建物取引士」ですか?
「宅建持ってるよ!」という知り合いの方が見つかったとしても、その人は厳密に言えば「宅地建物取引士」ではないかもしれません。
宅地建物取引士として仕事に従事するためには宅地建物取引士の試験に合格するだけでは足りず、大きく分けて次の3つの段階を経る必要があります。
①試験合格 ②資格登録 ③宅地建物取引士証交付
3つ目の段階である「③宅地建物取引士証交付」を受けてはじめて、宅地建物取引士として仕事をすることができます。
宅地建物取引士証を持っていない人は専任の宅地建物取引士を務めることができません。
宅地建物取引士証の交付を受けるまでには時間がかかる場合があります。知り合いの方、もしくはご自身が宅地建物取引士証の交付を受けていない場合、今どんな手続きが必要なのかしっかりと確認し、余裕をもって動けるようにしておきましょう。
また、交付を受けていたとしても期限が切れている場合があるので、そちらも併せて確認しておきましょう。
詳しい手続きについては、「宅建持ってる!」という知り合いを専任の取引士にしたい方のページをご査収ください。
ポイントその2:その人は会社に常勤できる人ですか?
「専任の」宅地建物取引士である以上、その会社に常勤できることが条件になります。次のような場合は専任性が認められず、専任の宅地建物取引士を務めることができません。
【専任の宅地建物取引士を務めることができない例】
別の会社で専任の宅地建物取引士を務めている
専任の宅地建物取引士は複数の事務所で兼任することができません。
別の会社に勤めているか、経営している
宅建業の事務所に常勤することができないためです。
宅建業者の本店が東京にあるのに、宅地建物取引士が大阪に住んでいる
日々の通勤が物理的に不可能であり、専任性が認められません。
※どこに住んでいるかは、住民票上の住所で判断されます。実際に住んでいるのは東京なのに住民票を大阪から移していないという場合は、住民票を移したり居所証明を作成したりなどといった手段をとることで対応できることがあります。
その人が、専任の宅地建物取引士を務める予定の会社で「監査役」に就任している
「監査役」は、役員の中でも経営に直接関わらずに第三者目線で会社の経営をチェックするという特殊な立場です。経営に直接関わらないため、事務所に常勤する立場であるといえず、専任の宅地建物取引士を務めることはできません。
専任の宅地建物取引士を務めてくださる方が、近隣に住んでいてどこにも勤めていないいわゆる「フリー」であるかどうかをチェックするようにしましょう。
ポイントその3:その人は過去に別会社で専任の宅地建物取引士を務めていたことがありますか?
ここが、最も間違いの生じやすいポイントです。専任の宅地建物取引士を務めていた場合、ただ会社を辞めるだけではその人が宅地建物取引士として「フリー」になったとは言えません。
過去に別会社で専任の宅地建物取引士を務めていたことがある場合、次の手続きが両方とも完了している必要があります。
①宅建業者が行う、専任の宅地建物取引士を交代する手続き
その人が過去に勤めていた会社が、宅建業者として専任の宅地建物取引士を変更する手続きをとる必要があります。その人を辞めさせて新しい宅地建物取引士を雇うことにする、という手続きです。
この手続きは、宅建業免許を受けている都道府県の窓口にて行います。
②宅地建物取引士個人が行う、自身の勤務先を変更する手続き
宅地建物取引士は、宅建業者に勤めることになった場合にはその勤務先情報を登録します。
勤めている宅建業者を退職した場合は、逆に勤務先情報の登録を抹消する手続きをとる必要があります。
この手続きは、 宅地建物取引士の資格登録を受けている都道府県の窓口にて行います。
これら2つの手続きは、全くの別物です。どちらか一方の手続きを完了したとしても、もう一方の手続きには決して反映されません。
②の宅地建物取引士個人が行う方の手続きは、具体的な期限が設定されているわけではないため行わなずに放置してしまう方が多いです。そのため、業者として専任の宅地建物取引士を交代させる手続きを完了していても宅地建物取引士個人として勤務先登録の抹消を行っていなかったという方が非常に多いです。
両方の手続きが完了していない場合、その宅地建物取引士の方が登録上はまだ別会社に勤めていることになるため、新しい会社で専任の宅地建物取引士を務めることができません。
ポイントその4:その人は欠格事由に該当していませんか?
国から免許を受けて行う宅建業ですから、過去に不正を働いていた人間や、破産者や正常な判断能力がないような人間に経営の中枢を任せるわけにはいきません。
専任の宅地建物取引士もまた、代表者や役員と同様に欠格事由に該当していないかどうかのチェックが入ります。
欠格事由としては破産者や成年被後見人である、過去に宅建業に関して不正を働いたことがあるといったものが挙げられます。他にも、反社会的勢力の一員であるか過去に所属していたといった事実も欠格事由です。
欠格事由に該当している場合はそもそも宅地建物取引士証の交付を受けられないか、交付を受けていても返納を求められる場合がほとんどなので、有効な宅地建物取引士証を所持している以上は該当している可能性は低いでしょうが、こちらについても確認しておくとより確実です。
ポイントその5:その人は「成年者」ですか?
専任の宅地建物取引士は、未成年者が務めることができません。
ややこしいのが、未成年者でも宅地建物取引士証の交付を受けて宅地建物取引士にはなれるという点です。有効な宅地建物取引士証の交付を受けていたとしても、未成年であれば専任の宅地建物取引士に就任することはできないのでお気を付けください。
専任の宅地建物取引士を就任・交代させる手続き
ここまで見てきたチェックポイントをクリアできる方が見つかったなら、いよいよ専任の宅地建物取引士を就任(交代)させる手続きに移りましょう。
キーワードは、「これからこの宅建業者に勤めます!」「ウチで専任の宅地建物取引士を務めてもらうのはこの人です!」「もうこの宅建業者は辞めました。」です。何のことやらわからないと思いますが、この手続きの流れの全体像をつかむ上で重要となるので、この3つを念頭に置きつつ読み進めてくださればと思います。
この手続きは、これから免許を受けようとしている業者(新規業者)とすでに免許を受けて宅建業を営んでいる業者(既存業者)とで流れが変わってきます。
これから免許を受けようとしている業者(新規業者)の場合
①宅建業免許の新規申請書類の中に、専任の宅地建物取引士を定める書類が含まれているため必要事項を記入して書類を提出する。
※宅建業免許の新規申請は、専任の宅地建物取引士を誰にするかということを定めてからでないとすることができません。
②宅建業免許が下りた後で、専任の宅地建物取引士を務める人が宅地建物取引士個人として勤務先を登録する手続きを行う。
すでに免許を受けている業者(既存業者)が、専任の宅地建物取引士を就任または交代させる場合
①新たに専任の宅地建物取引士となる方が、宅地建物取引士個人として勤務先を登録する手続きを行う。
②宅建業者が業者として、専任の宅地建物取引士を就任・交代させる手続きを行う。
③交代によって退任した宅地建物取引士がいる場合は、その宅地建物取引士が個人として勤務先登録を抹消する手続きを行う。
新規業者の場合でも既存業者の場合でも、業者として「ウチで専任の宅地建物取引士を務めてもらうのはこの人です!」という意思表示をする必要があります。
新規業者に勤める場合は、免許が下りるまでその業者はまだ宅建業者ではないので「これからこの宅建業者に勤めます!」という意思表示は宅建業免許が下りた後に行うことになります。
既存業者に勤める場合は、この手続きに移る前に宅地建物取引士が個人的に「これからこの宅建業者に勤めます!」という意思表示をする必要があります。
この手続きによって退任した宅地建物取引士がいる場合は、その宅地建物取引士が「もうこの宅建業者は辞めました。」という意思表示をする必要があります。
これらの手続きはそれぞれどのように行うのか、一つずつ見ていきましょう。
「これからこの宅建業者に勤めます!」 勤務先登録の手続き
正式には、「宅地建物取引士資格登録簿の変更登録申請」といいます。必要書類は各都道府県のホームページでダウンロードできます。
東京都はこちらhttp://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.jp/sinsei/820-02-2-1sinseiyousiki.htm
手続きを行う人
宅地建物取引士個人
手続きを行う場所
宅地建物取引士の資格登録を受けている都道府県の窓口
※宅地建物取引士証の「登録番号」が記載されているところに書いてある都道府県が、登録を受けている都道府県です。
手続きを行うタイミング
新規業者に勤める場合 | 宅建業免許が下りた後すぐに |
---|---|
既存業者に勤める場合 | 業者が専任の宅地建物取引士を就任させる手続きを行う前 |
手続きの流れ
次の書類を各都道府県の窓口に提出することにより行います。書類に不備がなければ、提出した時点で手続きは完了です。
必要書類(※東京都の場合)
宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書
変更があった箇所だけ記載します。今回の場合は「◎業務に従事する宅地建物取引業者に関する事項」の箇所です。
窓口にコピーを持参すると、コピーに受付印を押してもらうことができます。受付印の押されたコピーは今後の手続きに使用する場合があるので、記入が終わったらコピーをとって一緒に持っていきましょう。
入社証明書
※都道府県によっては、さらに追加書類を求められることもあれば添付書類が不要である場合もあります。
新規業者に勤める場合、入社証明書に記載する入社年月日は宅建業免許が下りた日、「免許年月日」です。
既存業者に勤める場合、入社年月日は実際に入社した日となりますが、別の業者を辞めて勤めるといった場合等は入社日や退社日に矛盾が生じないようにする必要があります。
手続きに移る前に!変更事項はありませんか?
宅地建物取引士は、次の4つの事項につき変更が生じた場合に変更の届出をしないといけないことになっています。変更があったのにその届出がなされていないと、勤務先登録の変更を受けつけてもらえない場合があるので気を付けましょう。仮に受け付けてもらえたとしても、その後の手続きにも影響するので変更がある場合はしっかりと手続きを完了させておきましょう。
変更があった場合に届出が必要な事項
- 氏名(婚姻による改姓を含む)
- 住所
- 本籍
- 勤務先(商号の変更を含む)「IT業者から広告代理店に転職した」といった変更については届出をする必要はありません。
勤務先以外に変更がある場合は、勤務先登録の手続きと同時に申請してしまいましょう。必要書類は次の通りです。
変更事項に関わらず必要
宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書 ※変更があった箇所だけ記載します。
変更事項が「氏名」の場合に追加で必要
- 戸籍謄本 ※発行から3ヶ月以内のもので、氏名の変更がわかるもの
- 宅地建物取引士証書換え交付申請書
- 宅地建物取引士証本体 ※新しく作り直すためです。
- 顔写真(3cm×2.4cm 免許証サイズ)
変更事項が「住所」の場合に追加で必要
- 住民票 ※発行から3ヶ月以内のもので、マイナンバーの記載がないもの
- 宅地建物取引士証書換え交付申請書
- 宅地建物取引士証本体 ※運転免許証のように、裏面に新住所を加筆するためです。
変更事項が「本籍」の場合に追加で必要
- 戸籍謄本
新規業者に勤める場合は免許が下りた後に勤務先登録の手続きを行うことで一連の手続きは完了です。もうすることはありません。
既存業者に勤める場合は、この勤務先登録の手続きをスタートにしてここから一連の手続きを行っていくことになります。
「ウチで専任の宅地建物取引士を務めてもらうのはこの人です!」専任の宅地建物取引士登録の手続き
手続きを行う人
宅地建物取引業者
手続きを行う場所
宅建業免許を受けている(受けようとしている)都道府県の窓口
※宅建業の本店がある都道府県です。
手続きを行うタイミング
新規業者の場合 | 宅建業免許の申請と同時に |
---|---|
既存業者の場合 | 新しく宅地建物取引士に就任する人が勤務先登録の手続きを完了させた後 |
手続きの流れ
新規業者の場合は、宅建業免許の新規申請書類に専任の宅地建物取引士を誰にするのかを定める書類が含まれているので、他の宅建業免許申請書類と一緒に提出することで行います。そのため、宅建業免許新規申請と同時に行うことになります。
既存業者の場合は、「専任の宅地建物取引士が新しくなります」という変更の手続きをとることになります。追加の場合も同様です。
必要書類(※東京都の場合)
都道府県のホームページでダウンロードすることができます。
東京都の場合はこち
http://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.jp/sinsei/491menkyo00.htm
新規業者の場合
宅建業免許の新規申請に含まれている手続きなので、「必要書類」というのなら宅建業免許の新規申請書類一式です。数が多くこの手続きとは関係のないものも含まれているので、ここでは省略します。
既存業者の場合
「変更届」という手続きによって行います。「ウチの専任の宅地建物取引士がこのように変わります。」という変更を届け出るという感覚です。ここでの必要書類は新規申請の必要書類と被るものがほとんどなので、参考にしていただければと思います。
宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書
変更届特有の書類です。新規申請には登場しません。変更がある箇所のみ記載します。今回の場合は、(第一面)と(第四面)が必要になります。変更がない箇所は提出不要です。
身分証明書※
ご自身で取得する公的書類です。詳しくは後述します。
登記されていないことの証明書※
ご自身で取得する公的書類です。詳しくは後述します。
略歴書
学校を卒業してからどのような仕事をしてきたのかを記載します。これは「現在他の宅建業者に勤めていないか」ということを見るものなので、宅建業者に勤めていた経験がある場合は免許番号と共に必ず記載するようにしましょう。
専任の取引士設置証明書
事務所ごとに従業者が何人で、専任の宅地建物取引士が何人設置されているのかを記載する書類です。変更後の内容を記載します。
顔写真貼付用紙
専任の宅地建物取引士を務める方の顔写真を貼付します。4×3cmの履歴書サイズで、6ヶ月以内に撮影したものを使用しましょう。
宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書の副本(受付印の押されたコピー)
「これからこの宅建業者に勤めます!」(勤務先登録)の手続きで使用した申請書の副本です。こちらは必ず用意しなければならないわけではありませんが、宅地建物取引士の方から受け取っておくことをおススメします。
繰り返しにはなりますが勤務先登録の手続きとこの専任の宅地建物取引士登録の手続きは完全に別の手続きです。そのため、宅地建物取引士が個人で勤務先登録を済ませた直後にこの手続きに移った場合、勤務先登録の手続きがまだ行政のデータベースに反映されていないことがあります。
データベースに反映されるまで待たなければならないのかというとそうではありません。勤務先登録の時に使用した申請書の副本を持っていくことで、データベースに反映される前でも手続きが完了したことを証明することができます。反映までにはさほど日数もかからないですが、無駄な待ち時間を作らないことで手続きをスムーズに進められます。
そこまで手続きを急がないという場合でも、宅地建物取引士の方が勤務先登録を行ったことの確認ができるので、勤務先登録の完了を書類ベースで確認するという意味でも宅地建物取引士の方から受け取っておくと良いでしょう。
※身分証明書、登記されていないことの証明書の取得について
これらの書類は、ご自身でそれぞれ取得する必要のある書類です。
細かいようですが、順番としては❶身分証明書 ❷登記されていないことの証明書 の順番で取得されることをおススメします。
また、これらは全て取得から3ヶ月以内のものでなければ使用できません。
住民票の取得をおすすめします。
住民票は必要書類ではありませんが、身分証明書と登記されていないことの証明書を取得するためにはご自身の「本籍地」がわかっていなければなりません。
本籍地がわかるのであれば取得は不要ですが、わからない場合はまず住民票を取得しましょう。
また、登記されていないことの証明書の取得時には正確な住所(ハイフンつなぎではない、○○丁目○○番地といった形式の住所)を使用することが望ましいです。そういった意味でも、住民票を取得しておくとより確実です。
❶身分証明書
ややこしい名前ですが、運転免許証のようないわゆる身分証とは異なります。破産者ではないか、成年被後見人になっていないかといったことを証明する書類です。
取得できる場所
ご自身の本籍地を管轄する市町村役場または出張所で取得することができます。運転免許証等の身分証が必要です。
※ここで本籍地がわかっていないと、請求先がわからなくなります。そのため、本籍地入りの住民票の取得をおすすめしています。住民票を直接窓口に取得しに行って、もし本籍地の管轄が住所地と同じであれば身分証明書も一度に取得できます。
費用
1通につき300円です。※市町村によって異なる場合があります。
取得の際の注意点
迷ったら「全て」を選択!
身分証明書は、主に次の3つのことを証明するものです。
禁治産または準禁治産(下記参照)の宣告の通知を受けていないこと
後見の登記の通知を受けていないこと
破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないこと
市町村によっては、取得請求書にてこの中のどれを証明してほしいかを選ぶ場合があります。宅建業ではこれら全てを証明している身分証明書が必要になるので、全ての記載があるものを発行してもらうようにしましょう。
郵送請求の際は日数に注意!
住民票請求の時と同様に、遠方であったり請求が立て込んでいたりすると、投函から手元に届くまで1週間から10日ほどかかることもあります。郵便局で定額小為替を購入しなければならないといった手間が増えるのも同じです。
また本籍地は住所地と違って変わることが少ないため、遠方となり郵送請求をしなければならなくなることが多いです。
こちらも郵送請求する場合は日にちに余裕をもっておきましょう。
❷登記されていないことの証明書
取得できる場所
窓口で取得する場合
住所や本籍地に関係なく、全国の後見登録課がある法務局で取得できます。
郵送で取得する場合
住所や本籍地に関係なく、東京法務局でのみ取得できます。
費用
1通につき300円です。収入印紙で支払います。
取得の際の注意点
書き間違いに注意!
登記されていないことの証明書の取得方法はなかなか特殊で、証明事項を記載した申請書をそのまま複写して証明書に落とし込みます。申請書に記載する事項は氏名、生年月日、住所、本籍地です。記載が間違っていたとしても法務局は訂正してくれないので、住民票や身分証明書を先に取得して内容を確認しながら記入すると良いでしょう。
成年後見の扱いの有無に注意!
窓口で取得する場合は、成年後見事務を扱っている法務局でしか取得ができません。
東京の場合は「東京法務局」、埼玉の場合は「さいたま地方法務局」、神奈川の場合は「横浜地方法務局」といったように、各都道府県でも限られた法務局でしか扱いがありません。
窓口で取得するという方は、登記されていないことの証明書が取得できるかどうか事前に調べておきましょう。
郵送請求の際は郵送先と日数に注意!
郵送で取得請求をする場合、郵送先は「東京法務局後見登録課」ただ一つだけです。どこに住んでいようとどこが本籍地だろうと、郵送請求の窓口は東京法務局後見登録課です。
宛先住所はこちらです。
〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15
九段第2合同庁舎4階
東京法務局後見登録課
また、こちらも繰り返しにはなりますが手元に届くまで1週間から10日ほどかかることもあります。郵送請求の際は余裕をもって行うようにしましょう。
「もうこの宅建業者は辞めました。」勤務先登録抹消の手続き
既存業者の場合は、一連の手続きによって専任の宅地建物取引士を退任する方が出てくることもあります。退任することになった宅地建物取引士は、個人として勤務先登録の抹消をする必要があります。業者が専任の宅地建物取引士を交代させる手続きをしたとしても、個人の勤務先登録には反映されません。
勤務先登録が抹消されずに生きたままだと、退任した宅地建物取引士が今後別の業者で専任の宅地建物取引士を務めることができなくなってしまうので、「辞めたヤツのことなど知らん!」といわずにこの手続きもしっかり行いましょう。
手続きを行う人
宅地建物取引士個人
手続きを行う場所
宅地建物取引士の資格登録を受けている都道府県の窓口
※宅地建物取引士証の「登録番号」が記載されているところに書いてある都道府県が、登録を受けている都道府県です。
手続きを行うタイミング
業者が専任の宅地建物取引士を交代させる手続きを行った後すぐ
手続きの流れ
次の書類を各都道府県の窓口に提出することにより行います。書類に不備がなければ、提出した時点で手続きは完了です。
必要書類(※東京都の場合)
宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書
※変更があった箇所だけ記載します。今回の場合は「◎業務に従事する宅地建物取引業者に関する事項」の箇所です。
退職証明書
※都道府県によっては、さらに追加書類を求められることもあれば添付書類が不要である場合もあります。
退職証明書に記載する退社年月日は、業者が専任の宅地建物取引士を交代させる手続きを行う上で指定した「変更年月日」です。
専任の宅地建物取引士を就任・交代させる手続きは、宅建業者だけでなく宅地建物取引士個人でも動かなければならないものなので、両者が手続きの全体像を理解して相互に協力しなければ上手くいきません。
専任の宅地建物取引士を新たに迎えようとしている業者の方も、どこかで専任の宅地建物取引士を務めるご予定の宅地建物取引士の方も、このページをご覧になり手続きの全体像への理解を深めていただければ幸いです。
専任の宅地建物取引士の追加や交代で困ったら
当事務所では、専任の宅地建物取引士の就任・退任や交代に関する、行政庁への変更届や保証協会への届出をサポート・代行させていただくサービスを提供しています。
手続きになかなか時間を割けない不動産業者様や、専任宅地建物取引士の人数が多く適正な管理に困っているという不動産会社様は、アウトソーシング的に当事務所をご活用ください。
サービス | 料金 | 法定費用等 |
---|---|---|
専任宅地建物取引士の追加 | 33,000円 |
まとめ
- 宅建業者は、宅建業に従事する人の5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を設置しなければならない。
- 専任の宅地建物取引士を務めるためには、有効な宅地建物取引士証を所持していることが必要となる。
- 有効な宅地建物取引士証を所持していたとしても、別の会社に勤めている場合や遠方に住んでいる場合は専任の宅地建物取引士を務めることができない。
- 未成年者は、専任の宅地建物取引士を務めることができない。
- 専任の宅地建物取引士を就任・交代させる手続きには、宅建業者として行うものと宅地建物取引士が個人で行うものの両方が含まれている。
- 宅建業者が行う手続きは、「ウチで専任の宅地建物取引士を務めてもらうのはこの人です!」という届出である。
- 宅地建物取引士が個人で行う手続きは、「これからこの宅建業者で専任の宅地建物取引士を務めます!」という届出と、「もうこの宅建業者は辞めました。」という届出である。
- 専任の宅地建物取引士の就任・交代の手続きは、宅建業者と宅地建物取引士が両方とも動かなければならない手続きのため、両者が手続きの全体像を理解し、上手く連携をとって進めていくことが大切である。