【相談事例】不動産会社に専任宅地建物取引士として勤務しているのですが、独立開業を考えています。

相談者:不動産会社営業担当(専任の宅地建物取引士)

現在不動産会社に勤めています。宅建士の資格を持っていて専任の宅地建物取引士にも登録されています。

今般、会社を退職し宅建業者として独立することとなりました。宅建士の資格を生かし、私が代表取締役と専任宅地建物取引士を兼任するつもりです。

ただ、会社からは後任の専任宅地建物取引士を手配する関係で退職ギリギリまで専任宅地建物取引士としての登録は残してほしいと言われています。私としては退職後すぐに動き出したいので、在職中および有給休暇の消化中に会社設立や免許申請を進めてしまいたいと考えているのですが、特段問題はないでしょうか?

回答:行政書士 石井宗信

専任の宅地建物取引士を務めている間、他の会社での業務は一切できないことになっています。たとえ有休消化中であっても、専任の宅地建物取引士在職中に会社を設立してしまうと、他の会社での業務を兼任していることになり宅建業法違反となってしまいます。

宅建業法に違反している事実が認められてしまうと、新設会社での宅建業免許申請を受け付けてもらえなくなるので、会社設立は必ず専任宅地建物取引士を退任した後に行うようにしてください。

専任の宅地建物取引士が、他の会社の業務に従事することは宅建業法違反です!

専任の宅地建物取引士は事務所への専属と常勤を強く求められるため、他社での勤務や個人事業の営業、会社代表者への就任は認められていません。

たとえ専任の宅地建物取引士を務める会社を退職予定であったとしても、有給休暇の消化中であったとしても、専任宅地建物取引士に就任していることに変わりはなく、他の事業を行えば専任宅地建物取引士としてルール違反を犯していることになります。

設立だけしておいて、宅建業免許申請まで一切動かす予定はないとしても同様です。登記簿謄本に記載される会社設立の年月日のみで判断されるため、会社を稼働させているか否かは関係ありません。

専任の宅地建物取引士に問題アリと判断されると、最悪の場合宅建業免許を受けられなくなります。

他社で専任の宅地建物取引士として勤務しながら設立した会社で宅建業免許を申請しようとしても、専任宅地建物取引士在職中に別業務に従事していた事実を指摘され、その会社では宅建業免許申請ができなくなる場合があります。

理由書や始末書を提出することで行政側が事情を汲んでくれる可能性もありますが、最悪の場合は専任宅地建物取引士や代表者の交代、会社設立のやり直しが必要となる場合もあります。

専任の宅地建物取引士退任日と、会社設立年月日は修正が利きません。

専任の宅地建物取引士を退任する年月日は、会社として行政に届け出る際に設定する日付です。手続き後に変更することはできません。

一方、会社設立の年月日は登記簿謄本に記載されるので、こちらも設立後に変更することができません。

一日でも重複してしまえば宅建業法違反となるので、ご自身で会社設立を行う前に専任宅地建物取引士退任日を確認するようにしましょう。

会社設立は、専任宅地建物取引士を退任してから!

会社設立は、現在お務めの専任宅地建物取引士を退任してから着手しましょう。退任日は、行政に提出する変更届に記載する日付となります。確認のため、会社が行政へ提出した届出書類の受領印副本のコピーをもらえれば確実です。

専任宅地建物取引士を退任していれば、別会社での勤務実態があろうと問題にはなりません。ただし、会社によっては副業を禁止している場合等、宅建業免許申請とは直接関係のない部分が会社設立の障壁となることもあるので、双方納得のいく形で進めるようにしましょう。

専任の宅地建物取引士の退任に加え、個人としての勤務先登録抹消も必要です。

専任の宅地建物取引士の退任手続きはお勤め先の会社が行うものですが、宅地建物取引士個人が行う勤務先登録の変更も必要です。

宅建業免許を新規で取得する会社で専任宅地建物取引士を務める場合、宅地建物取引士の勤務先登録が空白(何も登録がない状態)になっている必要があります。

勤務先登録抹消の手続きは、宅地建物取引士が資格登録をしている都道府県にて行います。勤務先の宅建業者の所在地とは関係ないので、場合によっては遠方の都道府県において手続きが必要となる場合があります。資格登録をしている都道府県は、宅地建物取引士証に記載されている都道府県を確認しましょう。

また、都道府県によっては勤務先登録の抹消に際して退職証明書の提出を求められます。発行に時間を要する場合もあるので、そのスケジュールにも注意しましょう。

まとめ

  • 専任宅地建物取引士は、勤務形態を問わず在職中に別の業務に従事することができない。
  • 専任宅地建物取引士在職中に会社を設立することも、別の業務に従事することと同じ。たとえ現職の有休消化中でも、設立した会社を一切動かしていなくても宅建業法違反となる。
  • 宅建業法違反の事実が認められると、最悪の場合は当該会社で宅建業免許申請ができなくなり、代表者や専任宅地建物取引士の交代、会社設立のやり直しを求められるおそれもある。
  • 会社設立を行うのは、専任宅地建物取引士を退任してから。会社として変更届を提出する必要があるため、手続き内容と進行状況はよく確認する。
  • 宅建業免許新規申請には、専任宅地建物取引士退任の手続きに加え、宅地建物取引士個人の勤務先登録抹消も必要となる。都道府県によっては退職証明書の提出を求められるため、こちらも併せて会社に確認する。

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