不動産会社の設立登記 


定款を作成し認証を終えたら、いよいよ法務局での設立登記手続きに移ることになります。

この設立登記手続きを終えることでようやく会社ができあがります。会社設立もあと一歩ですね。
設立登記をしないまま会社として活動をしても、会社として認められないだけでなく罰則を受ける場合もあります。

設立登記手続きはどのように行えばいいのか、気をつけるべき点は何か、このページで解説していきます。

登記申請書類の作成・法務局にて設立登記の申請

法務局に設立登記書類を提出し手続きが完了すると、晴れて会社設立完了となります。設立登記を行う期限は会社法で定められているため、定款の認証を受けてからすぐに動けるようにしておきましょう。

登記申請書類の作成 用意するものはどんなもの?

登記書類を作成するにあたっては会社の実印の使用が必須なので、用意がまだであるという方は至急作りましょう。

設立日は「法務局が登記申請書類を受理した日」になるので、大安吉日など特定の日にちにしたい場合は気を付けておきましょう。

提出書類は以下の通りです。

  1. 登記申請書
  2. 登録免許税の収入印紙を貼付したA4紙(登記申請書と契印)
  3. 定款
  4. 発起人決定書
  5. 取締役就任承諾書
  6. 代表取締役就任承諾書(取締役が一人の場合は不要)
  7. 監査役就任承諾書(設置する場合のみ)
  8. 取締役全員の印鑑証明書(取締役会設置会社は代表取締役の印鑑証明書のみ)
  9. 資本金の払込を証する書面
  10. 印鑑届書
  11. 登記すべき事項を保存したCD-ROM

1~9を順番に並べ、ホチキス留めをします。①と②は会社実印で契印(見開きページの境目をまたぐように捺印)をしましょう。順番通りでないと受け付けてもらえないわけではないですが、法務局側が審査をしやすいですし何よりご自身でもチェックがしやすいです。

10は他と綴じず、クリップ留めで提出しましょう。

1.登記申請書 2.登録免許税の収入印紙を貼付したA4紙

法務局のサイト(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor1-1)からダウンロードできます。

貼付すべき収入印紙の金額は資本金により異なります。法務局でも収入印紙を購入できるので、申請当日に窓口で金額を確かめてから購入するというのも手です。

3.定款

株式会社の場合は、公証役場で認証を受けた定款の謄本を提出します。

4.発起人決定書

本店所在地を定める書面です。定款において本店所在地を番地まで定めていない場合は提出が必要です。
発起人全員の住所と氏名を記載し、それぞれの個人実印を捺印します。

5.取締役就任承諾書

設立する会社で取締役を務めることになる人が、会社に対して「取締役をやります。」という意思表示をする書面です。「株式会社○○御中」という文言が記載されます。

取締役を務める人一人につき1枚必要で、住所と氏名を記載の上個人実印を捺印します。

6.代表取締役就任承諾書

取締役が一人しかいない場合は自動的にその人が代表権を得るので不要です。書き方は取締役就任承諾書と同じです。

7.監査役就任承諾書

設置する場合のみ必要です。書き方は取締役就任承諾書と同じです。

8.取締役全員の印鑑証明書

定款認証の段階ですでに取得済みの方が多いとは思いますが、ない場合は早めに取得しましょう。

9.資本金の払込を証する書面

定款の認証後に資本金の払込み作業をしましたね。その時の通帳の写しをここで使用します。

  • 資本金の払込を証する書面
  • 通帳の表紙
  • 通帳1ページ目の、名義や口座番号が載っている見開きページ
  • 資本金の振込みがあったことがわかるページ

これらをホチキス留めし、各ページに会社実印で契印します。

10.印鑑届書

会社の実印登録をする書面です。個人の場合と違い、会社は印鑑登録が必須なので、こちらの手続きも設立と一緒に行ってしまいましょう。

11.登記すべき事項を保存したCD-ROM

書面で用意することもできますが、専用の用紙を法務局まで取りに行かなければなりません。
法務省のサイトから雛形となるテキスト(txt)ファイルをダウンロードして作成し、そのデータをCD-ROMに保存して提出することができます。
雛形ダウンロード http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI50/minji50-01.html

テキストファイルの作成にあたってはフォントの指定や全角での入力など一定のルールがあるので、法務省のサイトをご確認ください。
記録媒体についてのルール http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI50/minji50.html

◆1~9を順番に並べ、ホチキス留めをしたもの
◆10の印鑑届書 ※ホチキス留めしない
◆11の登記すべき事項を保存したCD-ROM

以上3点を法務局に持参して、登記を申請します。

登記書類を最初から一人で完璧に用意するのはなかなか難しいです。設立に先立って、司法書士等の専門家への相談や法務局の無料相談室を利用するなど、余裕のある時期に登記手続きについて確認しておくと良いでしょう。

登記申請を行う場所 どこの法務局?

登記申請書類が作成できたら、法務局の窓口に提出して設立登記の申請を行うことになります。

書類を提出する法務局は、「本店所在地」を管轄する法務局です。

法人の登記を扱っている法務局は数が少ないので、管轄の法務局に注意しましょう。

例えば東京23区であればそれぞれの区内にある法務局が管轄ですが、埼玉県の場合はさいたま市だろうと熊谷市だろうと秩父市だろうとさいたま市にあるさいたま地方法務局が埼玉県全域を管轄しています。本店所在地の最寄りの法務局が管轄とは限らないので、前もって調べておきましょう。

管轄の法務局が遠すぎて提出に行けないという場合は郵送やオンラインでの申請も可能です。設立日を希望することもできますが、法務局が受理して以降でなければ設立日にできないので、郵送等では希望が通らないことがあります。設立日にこだわりたいという場合は、窓口に直接行くのが確実でしょう。

※注意
法務局の窓口では、たいていの場合書類の不備等のチェックはしてくれません。不備がある場合は書類提出後に補正を求められることになるので、受理されたからといってOKというわけではないとお考えください。

登記が完了したことはいつわかる?

登記申請書類も提出し、あとは登記完了を待つのみ。ですがここで気をつけなければならないのは、登記が完了しても法務局から特にお知らせは来ないという点です。

設立登記の書類を提出すると、窓口の方から登記完了日の目安が記載された紙をもらえます。そこに記載された日までに書類の不備等の連絡がなければそのまま登記が完了したという認識です。

設立登記が完了したかどうかを確かめたい場合は、書類を提出した法務局に電話で問い合わせるか、会社の履歴事項証明書(会社の登記簿謄本)を取得するという方法があります。

履歴事項証明書とは?

履歴事項証明書とは、会社登記簿謄本とも呼ばれ、いわゆる会社の戸籍謄本のようなものです。もっと砕けた言い方をするならば、会社のプロフィール帳です。
設立登記が完了した会社には必ずこの履歴事項証明書が作成されます。株式会社や合同会社はもちろん、一般社団法人やNPO法人にも履歴事項証明書が作成されます。

何に使うもの?

履歴事項証明書は、会社の身分証として多くの場面で用いられることになります。設立後に会社名義の銀行口座を開設する際に早速必要になりますし、宅建業免許を申請する際にも必要書類の1つに含まれています。

どこで取得することができる?

必要になった場合は、全国の法務局の窓口でどなたでも取得することができます。本店の管轄等は関係ないので、最寄りの行きやすい法務局で取得が可能です。取得費用は1通につき600円で、収入印紙で支払います。法務局に印紙売場があるので、事前に用意しなくても大丈夫です。

期限に注意!

履歴事項証明書の提出を求められる場合、ほとんどの場合で「発行から〇ヶ月以内のもの」という指定を受けます。履歴事項証明書は会社のプロフィール帳なので、変更があればその都度加筆・修正されていくことになります。つまり、昔に取得したものはすでに記載事項が変更されている可能性が高くあてにならないのです。

「提出することが多いのなら、今のうちに多めに取得しておこう!」と考えて沢山取得することはおすすめしません。期限を切らして結局無駄になってしまうからです。何度も取得するのは億劫かもしれませんが、必要なときに必要な分だけ取得するようにしましょう。

履歴事項全部証明書で何がわかる?

履歴事項全部証明書には、次に記載する情報が記載されます。※この中の一部を抜粋して記載するのが、履歴事項一部証明書です。

◆会社法人等番号
法人ごとに振り分けられる番号です。マイナンバーのようなもので、法務局での各種手続きに用います。

◆商号

◆本店
登記申請の時に定めた本店所在地がここに記載されます。宅建業免許を受ける際、ここに記載の住所と実際に本店を構える住所が一致している必要があります。

◆広告をする方法

◆会社設立の年月日

◆目的
定款に定めた事業目的が記載されます。宅建業免許を受けたい場合は、この欄に不動産業を行う旨が記載されているかどうかが見られます。

◆発行可能株式総数

◆発行済株式の総数並びに種類及び数

◆資本金の額
ここに記載される金額が、いわゆる「会社の信用度のバロメーター」となる資本金です。
※詳しくは不動産会社の資本金のページもご覧ください。

◆株式の譲渡制限に関する規定

◆役員に関する事項
取締役や監査役といった役員が誰なのか、役職名が氏名と住所、就退任日と共に記載されます。

◆登記記録に関する事項
変更が生じた場合や、何らかの特記事項がある場合に記載されます。

これらの事項に変更が生じた場合、「〇〇年〇月〇日 変更」という形で変更後の事項が追記されていきます。

基本的には「履歴事項全部証明書」を取得する!

履歴事項証明書は変更前の事項についても記載があるものですが、変更後の最新情報のみを記載する「現在事項証明書」というものもあります。

しかし、実務上多くの場合提出を求められるのは「履歴事項全部証明書」です。繰り返しにはなりますが、特に指定がない場合は基本的に履歴事項全部証明書を取得するようにしましょう。ちなみに、お察しでしょうが履歴事項証明書も現在事項証明書も取得費用は同じです。

まとめ

  • 法務局での会社設立登記の完了をもって、はじめて会社ができあがる。
  • 定款認証から設立登記を行うまでには期限があるため、早めに動けるようにしておく。
  • 設立登記の書類には会社の実印を用いるので、最低限実印だけは前もって作成しておく。
  • 設立登記が完了しても、特に連絡は来ない。
  • 会社の設立が完了すると、履歴事項証明書、いわゆる会社登記簿謄本を取得することができるようになる。
  • 実務上よく用いられるのは「履歴事項全部証明書」なので、基本的にはそれを取得する。

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