【徹底解説】宅建業免許取得から不動産業の営業開始までの全体像

  • 「長い間不動産会社で働いてきた経験を活かして、そろそろ自分の不動産会社を持って独立したい!」
  • 「何か新しい事業を始めたいけれど、不動産業はどうだろうか?」
  • 「親からかなり広い土地を相続したので、これを売って儲けたい!」

きっかけは様々あれど、不動産業を生業に独立しようとする方は多いです。

不動産業を営むためには、多くの場合「宅地建物取引業免許」いわゆる「宅建業免許」を受ける必要があります。

宅建業免許にはどのような特徴があるのか、取得するのにどれくらい時間がかかるのか、このページで解説していきます。

「宅建業免許」が必要になる場合とは?

不動産業、つまり宅建業を営むためには、宅建業免許を取得する必要があります。ここで、まず宅建業とは何かということをしっかりと認識しておきましょう。

宅建業は、正式名称で言うと「宅地建物取引業」です。ここで、「宅地建物」「取引」「業」という3つのワードに注目してみましょう。

宅地建物 土地や建物、いわゆる不動産です。
取引 自分の持っている宅地建物を「売買」すること、または他人が宅地建物を「売買」もしくは「貸し借り」するのを「仲介」することです。
報酬を得て、反復継続して行うことです。

上記に該当するものは宅地建物取引業になり、宅建業免許を受けて行う必要があります。逆に言えば、これに一つでも該当しないものは免許を受ける必要がありません。

不動産に関連する実務には、「売買」と「貸借」、そしてそれを「自ら行う」か「仲介する」かの4種類がありますが、このうち「貸借」を「自ら行う」場合は取引に該当しないので免許が必要ありません。

宅建業免許の要否 ※いずれも反復継続して営むものとします。

自ら行う 仲介する
売買 必要 必要
貸借 不要 必要

宅建業免許が必要ない例

自分が持っているアパートを不特定多数の人に賃貸する(大家さん業)
自分の建物を貸し借りしているだけなので、「取引」に該当せず免許が不要です。
自分が持っているビル1棟を知り合いに売る
一回だけの取引で反復継続していないため、「業」に該当せず免許が不要です。
サブリース業(いわゆる「又貸し」業)
原則不要ですが、業態によっては仲介しているものと扱われ、必要になる場合があります。

「知事免許」と「大臣免許」の違いとは?

宅建業免許を受けるにあたって、「知事免許」または「大臣免許」という言葉を耳にすると思います。これらの違いはズバリ「誰から免許をもらうのか」というところです。

国からの免許を受けることに違いはないのですが、その免許を出してくれる人が各都道府県知事なのか、国土交通大臣なのかという違いがあります。

どちらから免許を受けるのかというと、それは宅建業を営む事務所の所在地によって決まります。

1つの都道府県内にのみ事務所がある場合 都道府県知事から免許を受ける(知事免許)
2つ以上の都道府県に事務所がある場合 国土交通大臣から免許を受ける(大臣免許)

間違えやすいのが、事務所の「数」は関係ないという点です。

事務所が100ヶ所あってもそれが全て東京都にあれば免許を受けるのは東京都知事からですし、事務所が2ヶ所でも本店は東京都、支店は神奈川県にあるという場合は国土交通大臣から免許を受けることになります。

「ウチは最初から全国展開を狙っている!東京に本店と神奈川に支店を作って大臣免許を取得してしまおう!」このようにお考えの方はお気を付けください。素晴らしいことだとは思いますがあまりおススメはできません。

大臣免許は申請をしてから免許が下りるまで2~3ヶ月程度と、知事免許(1ヶ月程度)と比較してかなり時間がかかります。それまでの間宅建業を開始できないのはもちろんのこと、本店と支店の事務所家賃も払い続けなければなりません。まだ使えないのにです。

また、新規で大臣免許を取得するというのは事例が少なく、審査も厳しくなりがちです。まずは時間のかからない知事免許を取得し、事業が軌道に乗ってから大臣免許への免許換えを行うことをおススメします。

 

宅建業免許の申請に移る前に!整えなければならない条件とは?

知事免許ないしは大臣免許を取得することが決まったところで、書類の準備に着手する前にまず整えておかなければならない条件を押さえておきましょう。

これらがしっかりと整っていないと情報不足で申請書類が埋められなかったり、書類を作成できたとしても免許申請に支障が生じることになります。

前提となる条件として、まずは次の3つを整えておく必要があります。

1、場所 2、人員 3、お金

他にも細かい条件はありますが、まずは大前提となるこの3つについて詳しく見ていきましょう。

1)場所はどこがいい?オフィスビル以外でも可能!

宅建業は扱う金額が大きいので、実態のつかめない業者やすぐに雲隠れできてしまう業者に任せるわけにはいきません。そのため、宅建業を営む上での拠点(事務所と呼ぶのが一般的です。)をしっかりと構える必要があります。

オフィスビルの1部屋をそのまま事務所として使用する、というのがベストですが、自宅一軒家またはマンションの一部屋や他の会社のフロアを間借りした状態といったケースでも免許が下りた例があります。

宅建業の事務所としては、サーブコープやアセットデザイン、ハローオフィスやリージャスなどを利用されている事業者様もいらっしゃいます。確かに、このようなレンタルオフィスで不動産業の開業が可能な場合もありますが、オフィスの契約内容や部屋の構造によっては行政が事務所として認めてくれない場合もあります。

実際、「既に同じ場所で別の会社が宅建業を営んでいるから大丈夫」と契約したものの、その会社だけ契約内容が異なっていたり、その会社が宅建業免許を申請した際の条件と現在の条件が異なっている等の理由から、免許が下りずに宅建業が開業できないといったケースもあります。

2)最少1人でも開業可能!でも宅地建物取引士は必ず用意する!

次に用意しなければならないのが、宅建業を営む上での「人員」です。

宅建業の免許を受けるにあたって絶対に、何があっても用意しなければならないのが、「専任の宅地建物取引士」です。専任の宅地建物取引士は、事務所ごとに、代表者もアルバイトも関係なく宅建業に従事するすべての従業員の人数によって一定数(5人につき1人)置かなければなりません。

宅地建物取引士は、次の条件を満たしていなければなることができません。

①宅地建物取引士の資格試験に合格している
②試験合格後、都道府県知事から資格登録を受けている
③資格登録を受けた後、「宅地建物取引士証」を発行してもらっている

つまり、宅地建物取引士証を持っていない人は宅地建物取引士として仕事をすることができません。宅地建物取引士証の発行に至るまでにも様々な条件があります。

これらの条件を満たし宅地建物取引士として認められた人を、「専任の宅地建物取引士」として一定数雇う必要があります。

また、「代表者が宅地建物取引士ではないとダメですか?」というご相談をされる方もいらっしゃいますが、その必要はありません。

代表者+宅地建物取引士の従業員の2人で開業される方も沢山いらっしゃいます。もちろん、代表者が専任の宅地建物取引士を兼任することも可能ですので、代表者の方が専任の宅地建物取引士を兼任すれば1人でも宅建業を営むことができます。

政令使用人とは?

「政令使用人」とは、いわゆる「支店長」や「社長代理」の立場にあたる人をいいます。簡単に言うと宅建業は、「片手間に行う」ことができません。

必ず1人は宅建業を営む会社に専属で動ける人員を用意する必要があるのです。
たいていの場合は代表者が宅建業に専念するので政令使用人を置く必要はありませんが、代表者が別の会社を経営している場合等宅建業に専念しているといえない状況であるときは、代表者の代わりに宅建業に専念して動いてくれる人員を用意しておく必要があります。

政令使用人を置く必要がある場合の例

  • 代表者が別の会社で代表を務めている場合(代表取締役として登記されているものの、事実上経営は別の人物が行っている、いわゆる「名ばかり代表」である場合も同様) → 「社長代理」としての政令使用人が必要
  • 宅建業の支店を設ける場合(代表者が本店と支店同時に勤めることが不可能なため。) → 「支店長」としての政令使用人が必要

政令使用人は会社法上の「役員」が務める必要はありませんが、宅建業法においては役員と同様の扱いを受けます。

欠格事由に注意!

国から免許を受けて行う宅建業ですから、過去に不正を働いていた人間や、破産者や正常な判断能力がないような人間に任せるわけにはいきません。
特に厳しいチェックが入るのは、以下の人員です。

  • 代表者
  • 役員(取締役や監査役等)
  • 専任の宅地建物取引士
  • 政令使用人(設置する場合のみ)

これらに該当する方たちは、免許申請の際に「登記されていないことの証明書」と「身分証明書(※運転免許証などのことではありません)」の提出を求められます。

欠格事由に該当する場合は役員等の重要な役職を務めることができないのでお気を付けください。

また注意が必要なのが、「前にいた会社が不正をしていたか」どうかです。不正をしていた会社に役員として勤めていた場合でも欠格事由に当たることがあるので注意が必要です。

※他にも、反社会的勢力の一員であるなど、一般従業員として加わる場合でも欠格事由に該当することがあります。なんにせよ、黒いつながりは避けましょう・・・。

最後に従業員の人数ですが、こちらについては特に制限等はありません。人数に応じた宅地建物取引士を確保できるのであれば、1人でも100人でも構いません。

3)開業に向けて250万円前後は見込んでおきましょう

宅建業を開業するには一体いくらかかるのか?これは最も気になるところだと思います。開業に係る費用としては、大きく3つが挙げられます。

①行政庁への申請費用
②弁済業務保証金分担金+保証協会への入会金 または 営業保証金
③事務所賃料、オフィス用品、行政書士報酬等の必要経費

これらをすべて合わせると、少なくとも250万円前後は必要になってきます。

①行政庁への申請費用とは?

免許を受けるまでの審査にかかる手数料のようなものです。
都道府県知事免許は33,000円、国土交通大臣免許は90,000円がかかります。

②弁済業務保証金分担金+保証協会への入会金 または 営業保証金

宅建業は扱う金額が大きいことから、何か損害を生じたときに発生する賠償金も大きくなります。それに備えて保険をかけておくというイメージです。その手段として、

  • 営業保証金を供託する
  • 保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付する

この2パターンがあります。営業保証金の供託には最低1,000万円が必要な一方、弁済業務保証金分担金の納付は最低60万円、別途保証協会への入会金等を加算して110万円~120万円※なので、多くの業者が弁済業務保証金分担金の納付を選択します。
※2018年時点での金額です。協会のキャンペーンによって変動する場合があります。

  • 営業保証金 1,000万円 支店が1つ増えるごとに500万円加算
  • 弁済業務保証金分担金 60万円 支店が1つ増えるごとに30万円加算

③その他必要経費

宅建業を営むという以前に1つの事業を営むわけですから、事務所の家賃やオフィス用品、従業員への給料といった必要経費も忘れてはいけません。こちらについても一通り揃えるとしたら少なくとも100万円程度の初期投資は見込んだ方が良いでしょう。

そして、行政書士に宅建業免許の申請の代行を依頼する場合は、その報酬額も別途必要になります。(当事務所の場合、知事免許の新規申請で通常〇万円です。)

上で「少なくとも300万円前後は必要になってきます」とご案内したのは、これらの合計額が通常、不動産業を開業される方の場合は300万円前後に落ち着くことが多いためです。

ご自宅で開業するため家賃はカットできるなど、条件をうまく合わせればこれよりも安くできる場合もありますので、あくまで一つの目安とお考えください。

4)その他、気を付けておくべきこととは?

場所、人員、お金の3つが大前提となる条件ですが、他にも確認しておくべき事項をいくつかご紹介します。

会社の事業目的を要チェック!

宅建業免許の申請にあたっては、会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)も提出する必要があります。このとき、会社の事業目的の欄に「私たちは不動産業をやるつもりの会社です!」ということが書かれていないと申請を受け付けてもらえません。
事業目的において「わが社では不動産業を行います!」ということを明文化しておかないと宅建業の免許を受けられないということです。

事業目的に入れておかなければならない文言としては、下記が挙げられます。

  • 不動産の売買
  • 不動産の賃貸
  • 不動産の管理
  • 不動産の交換
  • これらの仲介

一つ一つ分けて書いてもいいですが、「不動産の売買、賃貸、管理、交換およびこれらの仲介」といったように一文にまとめてしまうのが一般的です。

記載がない場合は、事前に事業目的の変更登記を済ませておきましょう。定款の書換えから必要になるので、株主総会を開き議事録を作成するところからスタートです。予想以上に時間がかかる場合があるのでご注意ください。

既存会社の場合は、決算書の内容に注意

既存会社(決算を一度でも迎えている会社)の場合は、直近の会社の決算書(貸借対照表と損益計算書)も免許申請時の提出書類となります。

決算書には会社の経営状態が表れます。ここで、複数回に及ぶ不動産取引が計上されているなどの実態が見えてしまうと、「おや?この会社は宅建業免許を受けていないのに不動産業をやっているぞ?」と見られてしまいます。こうなってしまうと免許が受けられないばかりか、最悪の場合無免許営業を理由に罰則が課せられるおそれもあります。
決算書で嘘をつきなさいと言いたいわけでは決してありませんが、誤解を生むようなことは避けましょう。

また、損益計算書の中の「雑収入」の内訳も確認しておきましょう。こちらも「宅建業免許を受けないで得た不動産業の収入を雑収入と称して誤魔化していないか?」というチェックが入ります。国からの補助金や従業員向けの社宅家賃収入といった金額が計上されるケースが多いですが、内訳を聞かれた際には説明できるようにしておきましょう。

いよいよ宅建業免許の申請へ!どのような流れで行う?

免許申請のおおまかな流れは下記の通りです。

①免許申請の書類を作成

申請に必要な書類は、各都道府県庁のサイトでダウンロードすることができます。
東京都の場合はこちらです。

http://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.jp/sinsei/491menkyo00.htm

基本的に書式は全国共通ですが、都道府県によって用意する書類が異なる場合があるので、必ずご自身が免許を申請する予定の都道府県のサイトで必要書類をご確認の上ダウンロードするようにしてください。

②各都道府県の窓口に提出

提出先は、基本的に各都道府県庁の不動産業課です。
※2023年9月現在の申請先一例です。

東京都 東京都庁第二庁舎3階 東京都都市整備局 住宅政策推進部 不動産業課
〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1
埼玉県 埼玉県庁第二庁舎1階 埼玉県都市整備部建築安全課 宅建業免許担当
〒330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第2庁舎1階
神奈川県 かながわ県民センター4階 神奈川県県土整備局 事業管理部 建設業課
〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2

申請費用として、知事免許の場合は33,000円、国土交通大臣免許の場合は90,000円がかかります。

③審査

書類に不備がなく窓口で無事受理された後は、欠格事由に該当する役員がいないかどうかなどの審査が行われます。
都道府県にもよりますが、知事免許の場合は大体1ヶ月前後の期間を要します。大臣免許の場合は2ヶ月半~3ヶ月ほどの期間を要します。

審査が完了すると、「免許が下りましたよ」という内容の免許通知ハガキが届きます。免許申請書類に記載した本店所在地に届くので、開業前で事務所を空けがちという場合はお気を付けください。

④保証協会への加入申込みと審査

詳しくは後述しますが、保証協会に加入する場合は協会にて別途手続きが必要になります。申込みから加入までに1ヶ月から1ヶ月半程度の期間を要しますが、加入申込みは都道府県の窓口に免許申請書類を提出した後すぐに行うことができるので、免許の審査を待つのと同時進行で加入手続きを進めていくことが可能です。

⑤免許証の受領

審査が完了し免許通知ハガキが届いたら、最後に免許証を受け取ります。
免許証は、都道府県知事の名前が書いてある賞状のようなものです。これを受け取ると、ようやく免許の取得は完了です。

免許証の受け取りは都道府県の窓口で免許通知ハガキと交換で行うのが基本ですが、東京の場合は保証協会経由で受け取りが可能になっている場合があるなど対応は様々です。申請の段階で、免許証の受け取りについて説明を受けておくと良いでしょう。

保証協会への入会または営業保証金の供託を忘れずに

宅建業免許申請は、都道府県に免許申請書類を提出するだけでは終わりません。同じくらいの労力を要する作業として、保証協会への入会または営業保証金の供託があります。

こちらが完了していないと、免許の取得が完了していても営業を開始できないので注意しましょう。

宅建業は取り扱う商品が不動産という高額商品であるため、何かトラブルがあったときに莫大な額の損害が生じる場合があります。

しかし、全ての業者が満額で損害を賠償できるわけではないでしょう。無い袖は振れませんから、損害賠償をするのにも限界があります。

そのような事態にお客様が泣き寝入りをしないために、宅建業者は保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付するか、営業保証金を供託することにより事前に保険をかけておかなければなりません。宅建業を開始する前に国にお金を預けておいて、もしもの場合は取り急ぎそこから賠償をしようというものです。

これらは両方行う必要はなく、このどちらかを自由に選択して行うことができます。

弁済業務保証金分担金を納付する場合

用意する金額 60万円
(+支店1つにつき30万円)
支払先 加入する保証協会
支払うタイミング 保証協会加入時

営業保証金を供託する場合

用意する金額 1,000万円
(+支店1つにつき500万円)
支払先 本店所在地を管轄する法務局
支払うタイミング 宅建業免許を受けた後
(供託完了後でないと、営業を開始できない)

このように、保証協会に加入せず営業保証金を供託する場合と保証協会に加入し弁済業務保証金分担金の納付をする場合とでは用意する金額が大きく異なります。保証協会に加入する場合は別途入会金や年会費等を用意する必要がありますが、それでも100万円台に収まります。

保証協会に加入せず営業保証金を供託するか、保証協会に加入し弁済業務保証金分担金を納付するか、業者それぞれが自由に選択することができますが、金額上の理由から大多数の宅建業者が保証協会への加入を選択しています。

保証協会に加入する場合

ここからは、保証協会に加入する場合の手続きについて説明していきます。

加入手続きのタイミングですが、書類の提出は都道府県の窓口に免許申請書類を提出した後すぐに行うことができます。
保証協会の加入手続きは1ヶ月程度の期間を要します。これは知事免許が下りるまでと大体同じです。

ですので、このタイミングでやっておけば都道府県の窓口で申請した免許が下りるのを待つのと同時進行で保証協会の加入手続きを進めることができ、非常にスムーズです。

書類の準備はお早めに!

保証協会の加入手続きに必要な書類は、都道府県に提出する免許申請書類と同じかそれ以上のボリュームのものを要求されます。

こちらの準備に手間取って保証協会への加入手続きが遅れてしまうと、せっかく免許を取得してもすぐに営業を開始できません。スムーズに開始するためにも、保証協会への加入手続き書類は都道府県への免許申請書類と同時に準備しておきましょう。

加入手続きに必要な書類は、協会に問い合わせることで指定した住所に送ってもらうことができます。取り寄せたからといって絶対に加入しなければならないということはないので、思い立ったら早めに取り寄せておくとよいでしょう。

「ハト」と「ウサギ」とは? どちらに入ればいいの?

保証協会について調べたり他の宅建業者から話を聞いたりしていると、「ハト」や「ウサギ」というワードを耳にすることがあると思います。これらは、保証協会の通称なのです。

正式名称はそれぞれ次の通りです。

ハト 全国宅地建物取引業協会連合会
ウサギ 全日本不動産協会

それぞれがハトまたはウサギをシンボルマークとしているため、一般的にこのように呼ばれています。
保証協会はこれら2つがあり、どちらに加入するかは自由ですが両方に加入することはできません。

営業保証金を供託する場合

保証協会に加入せず営業保証金を供託する場合は、次のような手続きをとることになります。

①免許通知ハガキが届いた後、本店所在地最寄りの法務局に営業保証金を供託する。
②供託書の控えを添付した届出書類を都道府県の窓口に持参し、営業保証金の供託を完了した旨の届出をする。

保証協会に加入しないため用意する書類のボリュームは少ないですが、ご自身で法務局に営業保証金を供託し、その旨を都道府県の窓口にて届け出なければなりません。そのため、ご自身で動かなければならない作業が少し増えることになります。

※宅建業免許を受けてから3ヶ月以内に供託を確認できない場合は、国から「早く供託をしてください」という催促が来ます。この催促を受けてから1ヶ月以内に供託をしないと、宅建業免許を取り消されることがあります。営業保証金を供託しないと営業を開始できないので、いずれにせよ早めに供託するようにしましょう。

免許が受けられても油断は禁物!用意しておかなければならないものとは?

免許を受けられたからといって、好き勝手に経営をしていいわけではありません。用意しなければならないものがいくつかあります。

①従業者証明書 ※宅建業に従事する人全員に1つずつ

サイズ目安 縦5.4cm×横8.5cm クレジットカードと同じくらいのサイズです。
素材 コピー用紙に印刷したものでも、プラスチックカードを作成しても自由です。
顔写真 サイズは縦3cm×横2.4cmの免許証サイズです。

いうなれば社員証のようなものです。代表者であろうとアルバイトであろうと、宅建業に関わる人には例外なくこれを携帯させなければなりません。

取引の際、請求があれば相手方に提示する必要があります。
宅地建物取引士が持っている「宅地建物取引士証」は顔写真付きの身分証であり従業者証明書と似ていますが、宅地建物取引士証を従業者証明書の代わりにすることはできません。宅地建物取引士の分の従業者証明書も必ず用意してください。

②従業者名簿 ※データ管理も可

取引の関係者から請求があれば提示する必要があります。
最新の記載をした日から10年間の保存義務があります。

③帳簿

取引ごとに帳簿を作成し、保存しておく必要があります。こちらは提示義務はありませんが、5年間(自身が売主となる新築物件にかかるものは10年間)の保存義務があります。

④業者票

サイズ 縦30cm以上×横35cm以上 大きい分には問題ありませんが、小さいのはダメです。
素材 コピー用紙を額縁に入れる方もいらっしゃれば、アクリルや金属板に打ち込んだものを作成される方もいらっしゃいます。ただし、紙に印刷してただ貼っただけでは永続性が認められないとして免許が下りない可能性があります。

業者票は、いわゆる宅建業者のプロフィール表のようなものです。業者名や住所を記載して、お客様の見やすい場所に掲示しておく必要があります。

⑤報酬額表

宅建業は、業者がもらうことのできる報酬額の上限が法律で決まっています。ルール内であれば好きに報酬額を定められますが、その金額や計算方法を掲示しておかなければなりません。

ただし、報酬額表にはひな形があり保証協会等でもらうことができます。実際にはその報酬額表をそのまま掲示する業者がほとんどです。

変更届を忘れない!

宅建業では一定事項に変更が生じた場合には行政に届出をしなければなりません。

変更時に届出が必要になる一例

  • 業者の商号・名称・氏名
  • 役員の就任・退任
  • 役員の氏名(結婚等に伴う改姓を含む)
  • 専任の宅地建物取引士の就任・退任
  • 専任の宅地建物取引士の氏名(結婚等に伴う改姓を含む)
  • 本店・支店の所在地(同一都道府県内での移転)

※役員と専任の宅地建物取引士の住所については、変更があっても届出は不要です。

上記の変更は変更があった日から30日以内に変更の届出をしなければなりません。期限を過ぎてからの変更の届出は受け付けてもらえないわけではないですが、始末書の提出を求められることがあります。

変更届が必要な変更があったのにそれが行われずに放置されていると、後々免許の更新や免許換え手続きの際に申請を受け付けてもらえなくなります。何か変更があれば、届出が必要かどうか確認する癖をつけるようにしましょう。

当事務所でも、変更が行われていなかったために更新や免許換えの申請を受け付けてもらえなかったという相談を非常に多くいただいております。

変更が必要なのに行われていなかった事例

  • 代表取締役の変更があったが、変更の届出をしていなかった。
  • 代表取締役や役員、専任の取引士が結婚して名前が変わったのに、変更の届出をしていなかった。
  • 専任の宅地建物取引士に就退任があったが、変更の届出をしていなかった。

※専任の宅地建物取引士については、業者として行う変更の届出とは別に宅建士が個人で行う「勤務先の変更」という手続きがあります。この「勤務先の変更」だけを行って、業者としての専任の宅地建物取引士変更の届出を行わないでいる業者さんが非常に多いです。

  • 専任の宅地建物取引士:「勤務先が変わったので届出をします。」
  • 宅建業者:「ウチで雇っている専任の宅地建物取引士が変わったので届出をします。」

この2つの手続きは完全に別物です。どちらも完了していないとダメなのでお気を付けください。

また、保証協会への届出が必要になる変更もありますので、変更があったときには保証協会にも確認することを忘れないようにしてください。

 

免許には有効期間がある?取得後永久に有効ではない?

自動車運転免許に期限や更新があるのと同じで、宅建業免許にも有効期限があり、しかるべき期間に更新手続きを行わなければなりません。

宅建業免許の更新における提出書類は、新規で免許を取得する際に提出する書類と基本的には同じです。そのため、業務の繁忙期に更新の時期が重なると用意が間に合わなくなることもあるので注意が必要です。

有効期間 免許年月日から5年間 ※申請日からではありません。
更新期間 免許期間満了日の90日前から30日前までの間
→早すぎてもいけません。

更新を忘れてしまうとどうなる?

免許期間満了日の30日前までに更新手続きをしなかった場合

救済措置がある場合もありますが、都道府県によりますし保証はできません。法律上では免許期間満了日までに更新手続きを行えば免許は失効しないこととなっていますが、30日前を過ぎてしまえば少なくとも始末書の提出は求められますし、厳しいところでは申請を受け付けてもらえないこともあります。

更新をしないまま免許期間満了日を迎えた場合

救済措置はありません。問答無用でいま受けている免許が失効してしまいます。

再度新規で宅建業免許を取得する必要があり、免許番号もリセットされて新しくなってしまいます。

 

更新に着手する前に! 実は変更していた、ということはありませんか?

現在営業をされている会社について、免許を受けた時または更新した時から、変わったことはありませんか?宅建業では一定事項に変更が生じた場合には行政に届出をしなければなりません。

変更時に届出が必要になる一例

  • 業者の商号・名称・氏名
  • 役員の就任・退任
  • 役員の氏名(結婚等に伴う改姓を含む)
  • 専任の宅地建物取引士の就任・退任
  • 専任の宅地建物取引士の氏名(結婚等に伴う改姓を含む)
  • 本店・支店の所在地(同一都道府県内での移転)

※役員と専任の宅地建物取引士の住所については、変更があっても届出は不要です。

上記の事項につき変更があったにもかかわらず届出がされていない場合、更新の申請を受け付けてもらえません。更新に着手する前に、まずは会社として重要な事項に変更がなかったかを確認してください。

また、上記の変更は変更があった日から30日以内に変更の届出をしなければなりません。期限を過ぎてからの変更の届出は受け付けてもらえないわけではないですが、始末書の提出を求められることがあります。

変更の届出が必要な場合は、更新をする前に変更の届出を済ませておく必要があります。

※変更の届出と更新申請を同時に受け付けてもらえる場合もありますが、変更届には提出期限があるので別途早めに提出しておくことをおすすめします。

当事務所でも、変更が行われていなかったために更新の申請を受け付けてもらえなかったという相談を非常に多くいただいております。

変更が必要なのに行われていなかった事例

  • 代表取締役の変更があったが、変更の届出をしていなかった。
  • 代表取締役や役員、専任の取引士が結婚して名前が変わったのに、変更の届出をしていなかった。
  • 専任の宅地建物取引士に就退任があったが、変更の届出をしていなかった。

※専任の宅地建物取引士については、業者として行う変更の届出とは別に宅建士が個人で行う「勤務先の変更」という手続きがあります。この「勤務先の変更」だけを行って、業者としての専任の宅地建物取引士変更の届出を行わないでいる業者さんが非常に多いです。

  • 専任の宅地建物取引士:「勤務先が変わったので届出をします。」
  • 宅建業者:「ウチで雇っている専任の宅地建物取引士が変わったので届出をします。」

この2つの手続きは完全に別物です。どちらも完了していないとダメなのでお気を付けください。

 

 

いかがだったでしょうか。宅建免許を申請してから取得、開業に至るまで色々と面倒な手続きが多かったと思います。
全体を上手く把握して進めていかないと、どこかでつまずいてしまい遅れが生じることになります。

開業が遅れると、その分事務所の家賃を無駄に払わなければならないといった余計なコストが生じることになります。
このページをお読みいただいたことで、少しでも免許取得までのスケジューリングの手助けとなれば幸いです。

まとめ

  • 宅建業を営むためには国から免許を取得する必要がある。
  • アパートの家主など、一見不動産業のようでも宅建業免許が不要なものもある。
  • 宅建業免許には知事免許と大臣免許の二種類があり、事務所の所在地によってどちらを取得するかが決まる。
  • 宅建業免許申請に移る前に、「場所・人員・お金」という大前提となる条件を整える。
  • その他、会社の事業目的や決算書の内容に不備や齟齬がないかどうかに注意する。
  • 宅建業免許が下りるまで、早くても1ヶ月程度の期間を要する。
  • 保証協会への加入手続きは1ヶ月程度かかるため、宅建業免許の審査期間中に同時進行で進められるようにしておく。
  • 宅建業免許が下りた後は、従業者証明書などの各種書類を備えておく必要がある。
  • 宅建業免許には5年間の有効期限があり、更新を怠ると失効してしまう。

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