宅建業免許の申請前に整えておくべき条件 


宅建業を開業するためにはまず宅建業免許を取得することが第一ですが、当然のことながら何の準備もなく取得できるものではありません。

宅建業免許申請用の書類をしっかりと作成するということももちろん大事ですが、書類作成に着手する前に宅建業を営む上での前提となる条件を整えておかなければなりません。宅建業を営む上での前提条件をクリアしていなければ、いくら書類を正しく作成しても免許を取得することはできません。(書類の作成すらできなくなる場合もあります。)

ではその前提条件とは何かというと、大きく分けて次の3つが挙げられます。

前提条件 場所
人員
お金

これらについてどのように準備していけば良いのか、宅建業免許申請に実際に着手する第一歩としてしっかりと押さえておくことが重要になります。

宅建業免許の申請に移る前に! 整えなければならない条件とは?

宅建業免許申請書類の準備に着手する前に、まず整えておかなければならない条件を押さえておきましょう。
これらがしっかりと整っていないと情報不足で申請書類が埋められなかったり、書類を作成できたとしても免許申請に支障が生じることになります。

前提となる条件として、まずは次の3つを整えておく必要があります。

1、場所 2、人員 3、お金

他にも細かい条件はありますが、まずは大前提となるこの3つについて詳しく見ていきましょう。

【1】場所はどこがいい?オフィスビル以外でも可能!

宅建業は扱う金額が大きいので、実態のつかめない業者やすぐに雲隠れできてしまう業者に任せるわけにはいきません。そのため、宅建業を営む上での拠点(事務所と呼ぶのが一般的です。)をしっかりと構える必要があります。

オフィスビルを1部屋そのまま事務所として使用する、というのがベストですが、自宅である一軒家のリビングや他の会社のフロアを間借りした状態といったケースでも免許が下りた例があります。

他に宅建業の事務所として、サーブコープやアセットデザイン、ハローオフィスやリージャスなどを利用されている事業者様もいらっしゃいます。

このようなレンタルオフィスでも不動産業の開業が可能な場合もありますが、オフィスの契約内容や部屋の構造によっては行政が事務所として認めてくれない場合もあります。実際、「既に同じ場所で別の会社が宅建業を営んでいるから大丈夫」と契約したものの、その会社だけ契約内容が異なっていたり、その会社が宅建業免許を申請した際の条件と現在の条件が異なってたりといった理由から、免許が下りずに宅建業が開業できないといったケースもあります。

また、物件によっては事業目的での使用が認められない場合もあります。オーナーさんに直接確認するか、物件の賃貸借契約書にはその物件の「用途」が記載されているはずなのでそこを見るかして、事務所として使用できるかどうかを事前に確認しておくとより確実です。

以上が、前提として押さえるべき条件の1つ目である「場所」です。

【2】最少1人でも開業可能!でも宅地建物取引士は必ず用意する!

次に用意しなければならないのが、宅建業を営む上での「人員」です。

宅建業の免許を受けるにあたって絶対に、何があっても用意しなければならないのが、「専任の宅地建物取引士」です。専任の宅地建物取引士は、事務所ごとに、代表者もアルバイトも関係なくすべての従業員の人数によって一定数(5人につき1人)置かなければなりません。

宅地建物取引士は、次の条件を満たしていなければなることができません。

  1. 宅地建物取引士の資格試験に合格している
  2. 試験合格後、都道府県知事から資格登録を受けている
  3. 資格登録を受けた後、「宅地建物取引士証」を発行してもらっている

つまり、宅地建物取引士証を持っていない人は宅地建物取引士として仕事をすることができません。宅地建物取引士証の発行に至るまでにも様々な条件があります。
※より詳細な手続きの流れなどは「宅建持ってるよ!」という知り合いに専任の宅地建物取引士を務めてもらう予定の方へ~注意点と必要な手続き~のページをご参照ください。

これらの条件を満たし宅地建物取引士として認められた人を、「専任の宅地建物取引士」として一定数雇う必要があります。

「代表者が宅地建物取引士ではないとダメですか?」というご相談をされる方もいらっしゃいますが、その必要はありません。代表者+宅地建物取引士の従業員の2人で開業される方も沢山いらっしゃいます。もちろん、代表者が専任の宅地建物取引士を兼任することも可能ですので、代表者の方が専任の宅地建物取引士を兼任すれば1人でも宅建業を営むことができます。

政令使用人とは?

「政令使用人」とは、いわゆる「支店長」や「社長代理」の立場にあたる人をいいます。

簡単に言うと、宅建業は「片手間に行う」ことができません。必ず1人は宅建業を営む会社に専属で動ける人員を用意する必要があるのです。

たいていの場合は代表者が宅建業に専念するので政令使用人を置く必要はありませんが、代表者が別の会社を経営している場合等宅建業に専念しているといえない状況であるときは、代表者の代わりに宅建業に専念して動いてくれる人員を用意しておく必要があります。

政令使用人を置く必要がある場合の例

  • ・代表者が別の会社で代表を務めている場合(代表取締役として登記されているものの、事実上経営は別の人物が行っている、いわゆる「名ばかり代表」である場合も同様)
    →「社長代理」としての政令使用人が必要
    ・宅建業の支店を設ける場合(代表者が本店と支店同時に勤めることが不可能なため。)
    → 「支店長」としての政令使用人が必要

政令使用人は会社法上の「役員」が務める必要はありませんが、宅建業法においては役員と同様の扱いを受けます。

欠格事由に注意!

国から免許を受けて行う宅建業ですから、過去に不正を働いていた人間や、破産者や正常な判断能力がないような人間に任せるわけにはいきません。

特に厳しいチェックが入るのは、以下の人員です。

  • 代表者
  • 役員(取締役や監査役等)
  • 専任の宅地建物取引士
  • 政令使用人(設置する場合のみ)

これらに該当する方たちは、免許申請の際に「登記されていないことの証明書」と「身分証明書(※運転免許証などのことではありません)」の提出を求められます。欠格事由に該当する場合は役員等の重要な役職を務めることができないのでお気を付けください。

また注意が必要なのが、「前にいた会社が不正をしていたか」どうかです。その人自身に罪はないとしても、不正をしていた会社に役員として勤めていた場合には欠格事由に当たることがあるので注意が必要です。

他にも、反社会的勢力の一員であるなど、一般従業員として加わる場合でも欠格事由に該当することがあります。なんにせよ、黒いつながりは避けましょう・・・。

最後に従業員の人数ですが、こちらについては特に制限等はありません。人数に応じた宅地建物取引士を確保できるのであれば、1人でも100人でも構いません。

以上が、前提として押さえるべき条件の2つ目である「人員」です。

【3】開業に向けて250万円前後は見込んでおきましょう

宅建業を開業するには一体いくらかかるのか?これは最も気になるところだと思います。開業に係る費用としては、大きく3つが挙げられます。

  1. 行政庁への申請費用
  2. 弁済業務保証金分担金+保証協会への入会金 または 営業保証金
  3. 事務所賃料、オフィス用品、行政書士報酬等の必要経費

これらをすべて合わせると、少なくとも250万円前後は必要になってきます。

1.行政庁への申請費用とは?

免許を受けるまでの審査にかかる手数料のようなものです。
都道府県知事免許は33,000円、国土交通大臣免許は90,000円がかかります。

2.弁済業務保証金分担金+保証協会への入会金または営業保証金

宅建業は扱う金額が大きいことから、何か損害が生じたときに発生する賠償金も大きくなります。それに備えて保険をかけておくというイメージです。その手段として、

  • 営業保証金を供託する
  • 保証協会に加入し、弁済業務保証金分担金を納付する

この2パターンがあります。営業保証金の供託には最低1,000万円が必要な一方、弁済業務保証金分担金の納付は最低60万円、別途保証協会への入会金等を加算して110万円~120万円※なので、多くの業者が弁済業務保証金分担金の納付を選択します。
※2018年時点の金額です。協会のキャンペーンによって変動する場合があります。

  • 営業保証金 1,000万円 支店が1つ増えるごとに500万円加算
  • 弁済業務保証金分担金 60万円 支店が1つ増えるごとに30万円加算

3.その他必要経費

宅建業を営むという以前に1つの事業を営むわけですから、事務所の家賃やオフィス用品、従業員への給料といった必要経費も忘れてはいけません。こちらについても一通り揃えるとしたら少なくとも100万円程度の初期投資は見込んだ方が良いでしょう。

そして、行政書士に宅建業免許の申請の代行を依頼する場合は、その報酬額も別途必要になります。(当事務所の場合、都道府県知事免許の新規申請で通常〇万円です。)

はじめに「少なくとも300万円前後は必要になってきます」とご案内したのは、これらの合計額が通常、不動産業を開業される方の場合は300万円前後に落ち着くことが多いためです。
ご自宅で開業するため家賃はカットできるなど、条件をうまく合わせればこれよりも安くできる場合もありますので、あくまで一つの目安とお考えください。

以上が、前提として押さえるべき条件の3つ目である「お金」です。

その他、気を付けておくべきこととは?

場所、人員、お金の3つが大前提となる条件ですが、他にも確認しておくべき事項をいくつかご紹介します。

会社の事業目的を要チェック!

宅建業免許の申請にあたっては、会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)も提出する必要があります。このとき、会社の事業目的の欄に「私たちは不動産業をやるつもりの会社です!」ということが書かれていないと申請を受け付けてもらえません。

事業目的において「わが社では不動産業を行います!」ということを明文化しておかないと宅建業の免許を受けられないということです。

事業目的に入れておかなければならない文言としては、下記が挙げられます。

  • 不動産の売買
  • 不動産の賃貸
  • 不動産の管理
  • 不動産の交換
  • これらの仲介

一つ一つ分けて書いてもいいですが、「不動産の売買、賃貸、管理、交換およびこれらの仲介」といったように一文にまとめてしまうのが一般的です。

記載がない場合は、事前に事業目的の変更登記を済ませておきましょう。定款の書換えから必要になるので、株主総会を開き議事録を作成するところからスタートです。予想以上に時間がかかる場合があるのでご注意ください。

既存会社の場合は、決算書の内容に注意

既存会社(決算を一度でも迎えている会社)の場合は、直近の会社の決算書(貸借対照表と損益計算書)も免許申請時の提出書類となります。

決算書には会社の経営状態が表れます。ここで、複数回に及ぶ不動産取引が計上されているなどの実態が見えてしまうと、「おや?この会社は宅建業免許を受けていないのに不動産業をやっているぞ?」と見られてしまいます。こうなってしまうと免許が受けられないばかりか、最悪の場合無免許営業を理由に罰則が課せられるおそれもあります。

決算書で嘘をつきなさいと言いたいわけでは決してありませんが、誤解を生むようなことは避けましょう。

まとめ

  • 宅建業免許申請に移る前に、「場所・人員・お金」という大前提となる条件を整える。
  • オフィスを借りる場合は、事業目的の使用が可能か否かに注意する。
  • 専任の宅地建物取引士は宅建業に従事する人の5人に1人の割合で必ず設置しなければならない。
  • 専任の宅地建物取引士を務めるには、宅地建物取引士の試験に合格するだけではなく、宅地建物取引士証の交付を受けている必要がある。
  • 政令使用人は、代表者が別の会社を経営している、宅建業の支店を設けるといった、代表者が宅建業の事務所に専属で勤務することができない事情がある場合に設置する必要がある。
  • 開業資金としては、トータルで300万円ほどを見込んでおくと良い。
  • 開業にかかる費用は大きく分けて「行政庁への申請費用」、「保証協会への入会費用」、「事務所や備品等の必要経費」の3つがある
  • その他、会社の事業目的や決算書の内容に不備や齟齬がないかどうかに注意する。

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