【行政書士が教える】コロナ禍に不動産会社を設立するにあたってのチェックポイント

宅建業免許は法人名義で取得することがほとんどなので、宅建業免許を取得し不動産業を開業したい場合は、まず会社を設立する必要があります。

会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は宅建業免許の申請書類に含まれていて、その内容も宅建業免許において求められているものになっていなければなりません。
間違いがある場合でも変更は可能ですが、法務局に支払う登録免許税等の費用が発生してしまいます。

余計な費用や手間が発生することのないよう、宅建業免許新規申請に適した会社を設立するためのチェックポイントをまとめました。

Check 1:やり直しの利かない超重要問題!専任の宅地建物取引士辞任の手続きは済んでいますか?

現在不動産会社に勤めていて、そこからの独立開業をお考えの方はご注意ください。

宅建業免許において、専任の宅地建物取引士は他の仕事をすることが一切認められていません。そのため、現在不動産会社にて専任の宅地建物取引士をお務めの方が会社を設立してしまうと、専任の宅地建物取引士が別の仕事をしていることになってしまいます。このような状態になってしまうと、新しく設立した会社での宅建業免許申請が受け付けられないばかりか、前職の会社にも指導が入る等の影響を与えてしまいます。

会社の設立日は会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載され、後から変更することができません。そして、専任の宅地建物取引士辞任届の日付も後から変更することはできません。会社の設立日と専任の宅地建物取引士辞任届出の日付を動かせない以上、全く別の会社を作り直さなければならない場合もあります。

過去に、とある不動産会社にて専任の宅地建物取引士として在職中の12月1日に会社を設立し、専任の宅地建物取引士を12月31日に退任する届出をした方がいらっしゃいました。専任の宅地建物取引士在職中に他の仕事をしていたものと扱われ、宅建業免許新規申請を受け付けてもらえませんでした。さらに、前職の不動産会社にも行政から指導が入ることとなってしまいました。専任の宅地建物取引士辞任の変更届も提出済みであったため、その方は1月以降に別会社を設立せざるを得ないこととなってしまいました。

独立開業に向け在職中に会社設立だけは済ませておく、といった話はよくあることですが、宅建業免許においては十分な注意が必要な事項となります。現在不動産会社にて専任の宅地建物取引士をお務めの方は、必ず会社として専任の宅地建物取引士の変更手続きを行った後で会社の設立をしましょう。

Check 2:コロナ禍で増加中です!本店所在地は宅建業を営む本店事務所と一致していますか?

宅建業免許では、会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載される本店所在地と、実際に宅建業を営む事務所の住所が一致している必要があります。

例えば、登記簿上の本店所在地は渋谷区にある自宅になっていて、実際には港区にある別のオフィスを使用して宅建業を営むといった申請は通りません。

そのため、実際に宅建業を営む事務所の住所と別の住所を本店所在地として会社設立登記をしている場合は、本店の移転登記をする必要があります。会社設立がお済みでなければ、本店事務所が決まってから設立を行うとよいでしょう。

Check 3:株式会社か合同会社かは決めましたか?

宅建業免許に限った話で言えば、株式会社でも合同会社でも宅建業の免許は受けられます。

どちらを選択するかは自由に決めていただいて構わないですが、ここではそれぞれのメリット・デメリットをお知らせいたします。

株式会社を設立する場

メリット ・社会的認知度が高く、営業活動における信頼を得やすい!
・株式による資金調達が可能であるため、合同会社よりも資金調達がしやすい!
デメリット ・設立時のコストが高い
・事業年度ごとの決算報告義務がある
・役員に任期があり、その度に改選した上で変更の登記をしなければならない

合同会社を設立する場合

メリット ・設立時のコストが安い!(定款認証が不要になるなど)
・役員の任期が無いため、改選・登記の必要がない
・事業年度ごとの決算報告が不要である
デメリット ・社会的認知度が低いため、営業活動がしづらい場合がある
・株式公開ができないため、上場できない

「合同会社」という形態はまだまだ社会的認知度が低く、どうしても閉鎖的な零細企業のような印象を与えてしまいます。ただ、実はGoogleやワーナーブラザーズは合同会社なのですが・・・。

すでに営業上の地盤がある程度出来上がっていて、あとは会社さえあればすぐに仕事が入ってくるという方であれば合同会社でもいいかもしれませんが、合同会社を設立する確固たる理由がない状態でどちらにするかを悩んでいるのであれば、株式会社をおススメします!特に、「設立費用が安いから」という理由だけで合同会社を選択することは得策ではないです。

Check 4:会社登記簿謄本の事業目的に「不動産の売買、賃貸、管理、交換およびこれらの仲介」と入っていますか?

会社設立時には、会社としてどのような事業を行うのかを明文化し、定款に記載します。

ここで定めた事業目的は会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載されるので、宅建業免許新規申請時にチェックされるポイントになります。

事業目的において、「わが社では不動産業を行います!」ということを明文化しておかないと宅建業の免許を受けられません。

事業目的に入れておかなければならない文言としては、下記が挙げられます。

  • 不動産の売買
  • 不動産の賃貸
  • 不動産の管理
  • 不動産の交換
  • これらの仲介

一つ一つ分けて書いてもいいですが、「不動産の売買、賃貸、管理、交換およびこれらの仲介」といったように一文にまとめてしまうのが一般的です。

なお、不動産会社といっても不動産業しかやってはいけないわけではありません。事業目的に他の事業を定めることはもちろん、実際に他の事業を兼業しても何ら問題ありません。

Check 5:会社設立にかかる費用をチェック!

会社設立において絶対に発生する費用は大きく分けて2つあります。定款認証に発生する費用と、設立登記をするときに納める登録免許税です。

定款認証の費用 ※合同会社は定款認証が不要なのでかかりません。

  • 公証役場に支払う定款認証代 約5万円 ※資本金の額により異なります。
  • 定款に貼付する収入印紙 4万円(電子定款認証の場合は不要)
    ※電子定款の場合は収入印紙が不要になりますが、別途有料の電子証明書を取得する必要があります。
  • 定款謄本代 約2000円(発行してもらう部数により異なります。)

登録免許税 ※株式会社の場合

少なくとも15万円かかります。
登録免許税は、(資本金の額)×0.7%により算出した金額です。ただし、15万円を下回る場合は一律15万円となります。
例えば、資本金3,000万円の会社を設立しようとする場合の登録免許税は
3,000万×0.7% = 210,000円 です。

一方、資本金100万円の会社を設立しようとする場合の登録免許税は
100万円×0.7% = 7,000円 ではなくて15万円です。

また、これに加えて行政書士や司法書士等の専門家に手続を依頼した場合はその報酬も別途支払わなければなりません。

株式会社を設立する場合は、どれだけ費用を抑えたとしても最低24~5万円はかかるとお考え下さい。

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