不動産会社の役員が変更となる場合に注意すべき点とは?


※代表者の変更手続きの内容については、別ページでご案内しています。
代表者変更サポートのページ

不動産会社に限らず、会社の役員というものは意外と入れ替わりが激しいものです。役員の任期を短く設定している会社であればその任期満了をもって辞めてしまうこともありますし、任期の途中で退任するといったケースももちろんあります。

取締役や監査役といった役員の氏名は、会社の登記簿謄本に記載されます。宅建業免許を取得する際には会社の登記簿謄本と共に役員の一覧も行政に提出しているので、行政側は不動産業者の役員が誰なのかを把握しています。

そのため、役員に変更があれば行政に届出をする必要があります。

代表者ではない役員の変更については、ついつい行政への届出を忘れてしまいがちです。ですが行政から届出を求められている以上、きちんと届出をせずに放置してしまうと思わぬお叱りを受けることにもなりかねません。

代表者のみならず役員も会社の主要なメンバーですから、現在誰が務めているのかということはとても重要な情報です。きちんと最新の情報に更新するようにしましょう。

それでは具体的にどのような手続きが必要となるのか、ここから解説していきます。

そもそも「役員の変更」とは?

一言「変更」とだけ聞くと、元々いる役員が退任して新しい役員が入るという状況のみを思い浮かべてしまいがちですが、単に新しい役員を追加するといった場合や後任の役員を迎えずに退任するといった場合も「変更」です。当たり前かもしれませんが、実は見過ごしてしまうことが多いです。

さらに気づきにくいのが、「役職の変更」と「氏名の変更」です。

取締役から監査役に役職が変更になった、結婚して苗字が変わった、といった場合も変更の手続きが必要となります。どちらも役員自体を辞めたわけではないので、変更の手続きに考えが至らないなんてことも少なくありません。

ちょっとしたことでも「変更」扱いになると考えて、手続きが必要となる可能性を意識しておくと良いでしょう。かもしれない運転をしておくに越したことはありません。

社外取締役や「名ばかり役員」に注意!

社外取締役のように普段はあまり業務に関わらない役員や、会社設立の際にとりあえず名前だけ加えた役員等は、変更があっても見過ごしてしまいがちです。

行政への手続きはおろか役員変更の登記すらやっていなかったというケースも散見されます。

しかしながら、実情はどうあれ登記簿上では常勤の役員と同じように記載されます。変更があった場合には常勤の役員と同様の手続きが必要となります。

お心当たりのある業者さんは、現在の役員はどのようなメンバーなのか一度おさらいしておくといいでしょう。

役員変更手続きのおおまかな流れ

①役員の登記変更申請

役員の氏名はそれぞれの役職(「取締役」「監査役」等)と共に会社の登記簿謄本に記載されています。役員が変更になる場合は、その記載を変更するための申請をする必要があります。

変更日に関しては任意の年月日を設定することができますが、登記申請自体はその年月日以降にならないと行えないことに注意しましょう。「1ヶ月後の○月○日に当社の取締役が変更になるので、今のうちに申請しておきます。」といった申請は受理してもらえません。

そして、ここで定めた変更日が登記簿上に記載されます。行政への変更届は期限があり、登記簿上に記載される変更日が基準となります。

役員の登記変更申請には、株式会社も合同会社も1件につき10,000円(資本金が1億円を超える会社の場合は30,000円)の登録免許税がかかります。対象となる役員の人数ではなく、申請1件ごとにかかります。対象となる役員の方が多い場合は、できるだけ一度の申請で済ませるようにしましょう。

※司法書士等の専門家に依頼する場合は別途報酬等の費用がかかります。

必要書類の案内や書式のダウンロードは法務局のホームページで行えます。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html

②行政への変更届を提出する

法務局により違いはありますが、特に不備がなければ書類を提出してから10日前後で役員変更の登記は完了します。

行政への届出を行う際は役員の変更が反映された会社登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の提出も求められますので、行政への届出は登記が完了した後に行うことになります。

なお、行政への届出は登記簿上に記載されている変更の年月日(「○年○月○日就任」等と書かれている日)から30日以内に行う必要があります。登記が完了した後から行政への届出書類を準備していると期日までに間に合わないおそれがあるので、登記申請の書類と同時進行で行政への届出書類の準備も進めておきましょう。

なお、届出につき費用は発生しません。

③保証協会への手続きを行う

協会や支部によりますが、代表者以外の役員についても変更があれば届出が必要となる場合があります。所属している協会の支部に事前に確認しておきましょう。

役員変更はいつまでに届出が必要か?

不動産会社の役員の変更は、変更のあった日から30日以内に行政へ届け出る必要があります。

ここでいう「変更のあった日」は、会社の登記簿上に記載される「役員の就任日」とされています。「○年○月○日就任」や「○年○月○日退任」、「○年○月○日氏名変更」等と記載されます。登記を申請した日や登記の完了日ではないのでご注意ください。

不動産会社の役員変更は、登記変更の手続きや各種公的書類(身分証明書や登記されていないことの証明書)の取得といった、いわゆる「完了待ち」の状態が多くなる手続きといえます。登記が完了するのを待っていたら、書類が届くのを待っていたら、届出をすべき期限を過ぎてしまっていた・・・といった事態に陥らないよう、手続きの流れを理解したうえで余裕を持ったスケジューリングを心がけましょう。

役員変更に着手する前に!実は他に変更していた、ということはありませんか?

役員の変更という変更の手続きを行う前に、他に何か免許を受けた時または更新した時から変わったことはありませんか?宅建業では一定事項に変更が生じた場合には行政に届出をしなければなりません。

変更時に届出が必要になる一例

  • 業者の商号・名称・氏名
  • 役員の就任・退任
  • 役員の氏名(結婚等に伴う改姓を含む)
  • 専任の宅地建物取引士の就任・退任
  • 専任の宅地建物取引士の氏名(結婚等に伴う改姓を含む)
  • 本店・支店の所在地(同一都道府県内での移転)

※役員と専任の宅地建物取引士の住所については、変更があっても届出は不要です。

上記の事項につき変更があったにもかかわらず届出がされていない場合、役員変更についての手続きの他にこれらの変更手続きも行わなければなりません。まずは会社として重要な事項に変更がなかったかを確認してください。

また、上記の変更は変更があった日から30日以内に変更の届出をしなければなりません。期限を過ぎてからの変更の届出は受け付けてもらえないわけではないですが、始末書の提出を求められることがあります。

当事務所でも、変更が行われていなかったために手続きが増え、余計な手間がかかってしまったという相談を非常に多くいただいております。

変更が必要なのに行われていなかった事例

  • 代表取締役の変更があったが、変更の届出をしていなかった。
  • 代表取締役や役員、専任の取引士が結婚して名前が変わったのに、変更の届出をしていなかった。
  • 専任の宅地建物取引士に就退任があったが、変更の届出をしていなかった。

※専任の宅地建物取引士については、業者として行う変更の届出とは別に宅建士が個人で行う「勤務先の変更」という手続きがあります。この「勤務先の変更」だけを行って、業者としての専任の宅地建物取引士変更の届出を行わないでいる業者さんが非常に多いです。

  • 専任の宅地建物取引士:「勤務先が変わったので届出をします。」
  • 宅建業者:「ウチで雇っている専任の宅地建物取引士が変わったので届出をします。」

この2つの手続きは完全に別物です。どちらも完了していないとダメなのでお気を付けください。

まとめ

  • 不動産会社の役員が変更になった場合は、免許を受けている都道府県または国土交通大臣に変更の届出をする必要がある。
  • 役員の変更は、入れ替えはもちろん増員や減員、役職の変更や氏名の変更も含まれる。
  • 行政への変更の届出に先立ち、会社登記簿に記載されている役員を変更する必要がある。
  • 役員変更の登記が完了したら、行政への変更の届出を行う。
  • 行政への変更の届出は、登記簿上に記載されている役員の変更年月日から30日以内に行わなければならない。
  • 行政への変更の届出が完了したら、必要な場合は加入している保証協会への変更手続きを行う。

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