不動産会社を設立した後の手続き 


資本金の工面や定款の認証、設立登記といった面倒な手続きを終えようやく会社を設立することができ、ほっと一息・・・と言いたいところですが、設立登記を終えてもまだまだ手続きは残っています。むしろここからが本番という人も少なくありません。

初めにお伝えしますが、設立後の手続きは会社の規模や業種によって異なるため、ご自身のみで行うことはあまりおススメできません。

設立登記が済んだら、開業に向けての各種準備・届出を行う!

設立登記が完了しても、まだ終わりではありません。実はまだまだ手続きがたくさん残っています。

※本サイトでは代表的な手続きを紹介いたします。そこで最低限の知識だけは持っておくとして、基本的には顧問を務めてくださるであろう税理士や社会保険労務士等の専門家と一緒に進めていく方が確実です。

会社名義の銀行口座を開設しましょう!

設立登記が完了するということは、会社がようやく誕生したということです。この時点をもって、設立した会社の名義で様々な活動が行えるようになります。

まずはその第一歩として、会社名義の銀行口座を開設しましょう!ここで会社の銀行印が活躍するので、最初に会社の実印を作るときに一緒に作っておくことをおススメします。

法人名義の口座開設は義務ではありませんが、会社のお金は会社名義の口座で管理した方が管理もしやすいですし、振込先が法人名義というだけでも社会的な信用はグッと高まります。

会社の名前が名義人欄に記載された通帳を受け取った瞬間、いよいよスタートだなという実感が湧いてきますよ。

特に宅建業では、多くの業者が免許を受けた後に保証協会に加入することになります。加入にあたっての入会金の振込み等で早速口座が必要になるので、設立登記が完了したら必ず会社名義の口座を開設しましょう。

必要書類は銀行によって異なりますが、主に必要なものは以下のものです。

  • 履歴事項全部証明書(会社登記簿謄本)
  • 定款
  • 会社の印鑑証明書
  • 会社の実印
  • 会社の銀行印

他にも、以下のものが必要になることがあります。

  • 代表取締役個人の印鑑証明書と実印
  • 株主名簿
  • 本店事務所の賃貸借契約書
  • 事業内容を説明できるもの

口座は一行のみに開設することがほとんどですが、時間や管理に余裕があるのであれば大手三行の口座を一通り開設する手もあります。使える口座が多ければ、取引相手との振込みにおいてお互いに手数料を節約できます。

口座が作れない場合もある?

銀行によっては新設法人だとすぐに口座を開設できない場合があります。振り込め詐欺グループや暴力団関係者がペーパーカンパニーを設立して口座を開設するのを防止するため、法人の口座開設は個人名義で口座を開設するのに比べて少々ハードルが高いです。

事業内容はもちろんのこと、実は本店事務所にも注意が必要です。

バーチャルオフィスのような実体のないオフィスの場合、犯罪グループのペーパーカンパニーの本店所在地に使用されていたというケースもあるため、口座開設がしづらくなる場合もあります。

会社設立の時に事務所を選ぶ段階で、銀行口座開設が問題なく行えるかどうかも確かめておくと良いでしょう。

より会社としての信用度を得やすくする方法としては、前から個人名義で口座を開設して利用していた銀行に開設するという方法もあります。すでに個人として銀行からの信用はある程度得られているので口座開設もしやすいでしょう。

大手銀行が難しければ他の都市銀行や信用金庫にも当たってみるのも良いです。

行政への各種届出をお忘れなく!

会社設立の登記だけ完了しても、確かに存在はしているものの社会的には通用する立場ではありません。税務署など各署への届出を行うことで初めて、社会的に通用する会社として営業を開始できるのです。

これらの手続きは法律で期限が決まっているものが多いので注意が必要です。 必要となる手続きには大きく分けて次の3つがあります。

  1. 税金関係の届出(税務署と市町村役場)
  2. 労働保険関係の届出
  3. 社会保険関係の届出

繰り返しにはなりますが、これらの手続きは会社の規模や業種によって異なるため、ご自身のみで行うことはあまりおススメできません。最低限の知識だけは持っておいて、税理士や社会保険労務士等の専門家と一緒に進めていく方が確実です。

1、税金関係の届出

この手続きには、税務署に行うもの(国税)と都道府県及び市町村に行うもの(地方税)の2種類があります。

税務署に提出するものの例

ここでは、国税に関する届出を行います。

提出先は、本店所在地を管轄する税務署です。国税庁のトップページで管轄税務署を調べることができるので、事前に調べておきましょう。

参考:国税庁ホームページhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm

法人設立届出書

会社を設立したことを税務署に知らせるもの。必須です。

提出期限:設立登記完了から2ヶ月以内

青色申告承認申請書

青色申告を行うために必要となります。

提出期限:設立登記完了から3ヶ月または最初の事業年度の末日のどちらか早い方の前日まで

給与支払事務所等の開設届出書

役員報酬や従業員への給料を税金上の費用としてカウントしてもらうための申請書です。

提出期限:最初の給料を支払う日まで

源泉所得税納金の特例の承認に関する申請書

源泉所得税は毎月納付するのが原則ですが、これを半年に一回、年二回にしてもらえる特例を受けるための申請書です。

提出期限:特になし(いつでも申請ができます。)

その他の書類

棚卸資産の評価方法の届出書(任意)

減価償却資産の償却方法の届出書(任意)

添付書類

  • 定款の写し
  • 会社登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 設立時貸借対照表
  • 株主名簿

都道府県税事務所・市町村役場に提出するもの

税務署に対しては国税に関する届出を行いましたが、こちらでは地方税に関する届出を行います。

提出先は都道府県税事務所と市町村役場の2ヶ所なので注意が必要です。こちらも本店所在地を管轄しているのがどこなのかを調べておきましょう。

提出するものは、会社設立届出書です。税務署に提出したものの地方税版とイメージしてください。

提出期限は都道府県によって異なります。東京都の場合は設立登記完了から15日以内です。

添付書類は基本的に定款の写しと履歴事項全部証明書ですが、都道府県や市町村によって扱いが異なるので注意が必要です。

2、労働保険関係の届出

設立時に従業員を一人でも雇う場合、入社日の翌日から10日以内に労働保険の加入手続きが必要となります。

労働保険には、次の2つがあります。

労災保険 業務や通勤時での病気やケガを保障するもの。労働基準監督署に届出をする。
雇用保険 失業や休業時の生活を保障するもの。 ハローワークに届出をする。

3、社会保険関係の届出

株式会社では、従業員の社会保険料の半分を会社が負担しなければなりません。よって、従業員に支払う給料に会社が負担する社会保険料を加えたものが、一人分の人件費ということになります。

提出先は年金事務所です。全国の年金事務所で手続きが可能な場合もありますが、本店所在地近くの年金事務所で手続きを行うのがより確実ですし便利です。

これらの手続きはあくまで一例です。会社の規模や業種により必要手続きが変わってきますので全てを一人で行うことは作業量も膨大となりあまりおススメできませんが、税務署や年金事務所等に直接足を運んで手続きを行うことももちろん可能です。

まとめ

  • 設立登記が完了しても、銀行口座開設や行政庁等各所への届出といった手続きを行わなければならない。
  • 設立登記の完了後、会社名義の銀行口座を開設できるようになる。
  • 宅建業の保証協会に加入する場合は会社名義の口座から入会金等の振込を行うため、必ず口座を開設するようにする。
  • 事業内容や本店事務所の実態によっては口座開設がスムーズにいかない場合もあるので、設立前に確認する。
  • 行政庁等への主な届出には、大きく分けて「1.税金関係 2.労働保険関係 3.社会保険関係」の3つがある。
  • 行政庁等への届出は会社の規模や業種によって必要なものが変わってくるため、全て自分だけでやろうとすると多大な労力を要する上失敗の危険も極めて高い。顧問となる税理士や社会保険労務士といった専門家と一緒に進めていく方が確実といえる。

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