神奈川県で不動産会社を経営しております。本店が一つだけの会社で、神奈川県知事免許を受けております。現在、東京都への本店移転を考えております。今の神奈川県の事務所は残さないので、本店移転後は神奈川県に事務所を設けていない状態となります。この場合ですと、「免許換え」という手続きが必要であることは調べて分かったのですが、どのように進めていけば良いのか分からず、行き詰まっています。今のところ気になる点といたしましては、次の通りです。
- 免許換えの手続き中、宅建業免許は失効し営業ができなくなるのか
- 近日中に取締役が一名交代する予定で、その変更はいつどこに届け出れば良いのか
- 当社は全宅(ハト)協会に加入しておりまして、その手続きはどうすれば良いのか
他にも、気をつけるべき点などございましたらご指摘いただけますと助かります。
本店を別の都道府県に移転する場合(今回の場合は神奈川県から東京都)、ご認識の通り「免許換え」という手続きが必要となります。宅建業免許は都道府県単位で管理されるため、本店を東京都に移転する場合は東京都知事の宅建業免許を受け直すことになります。なお、免許換えの手続き中であっても今受けている神奈川県知事の宅建業免許は失効しません。東京都知事免許が下りた段階で失効するので、免許換えの手続き中も営業を続けていただいて問題はありません。一方、取締役の交代については注意が必要です。届出が必要な事項に変更が生じた場合、変更届を提出した後で免許換え申請を行わなければなりません。専任宅地建物取引士をはじめとした重要事項に変更が生じていないかご確認の上、変更がある場合は全て変更届を提出してから免許換え申請に移ります。
そして、加入している全宅(ハト)協会ですが、再入会扱いとなり改めて入会金等が発生します。弁済業務保証金分担金は引き継がれるのですが、それ以外は基本的に新規入会時と同じ金額がかかります。
他に気をつけるべき点としては、最終的に神奈川県知事の宅建業免許は失効して東京都知事免許を受け直すため、免許番号が新しくなることですね。()の中の数字は1に戻り、番号も神奈川県知事免許時代のものとは別の番号となります。
本店を別の都道府県に移転する場合は「免許換え」の手続きが必要!
宅建業免許は、本店がある都道府県から受けるものです。本店が別の都道府県に移る場合は、移転先の都道府県から新たに宅建業免許を受け直す必要があります。
なお、「免許換え」といっても用意する書類は新規申請とほぼ変わりません。むしろ、宅建業の実績がある分新規申請よりも書類の内容が複雑になります。
免許換え申請はどのように行う?
免許換え申請は、下記の通り行います。※神奈川県から東京都へ本店を移転する場合
① | 重要事項に変更がある場合は、現在宅建業免許を受けている神奈川県に変更届を提出する。 |
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② | 東京都に、免許換え申請の書類を提出する。 |
③ | 加入している保証協会の移転または再入会の手続き・本店での面談を行う。 |
④ | 東京都から免許換え完了の通知ハガキが届き、新しい免許証を受け取る。 |
⑤ | 専任宅地建物取引士資格の、勤務先登録を変更する。 |
①重要事項に変更がある場合は、現在宅建業免許を受けている神奈川県に変更届を提出する。
代表者や役員、専任の宅地建物取引士といった重要事項に変更がある場合は、現在宅建業免許を受けている都道府県に変更届を提出し、変更内容を反映させなければなりません。
変更内容が反映されていないと免許換え申請を受け付けてもらえなくなるので、変更事項がある場合は変更届を忘れないようにしましょう。
ただし、変更事項の中でも「本店所在地の移転」については届出不要です。新しい本店の住所は、免許換え申請の書類に記載します。
(そもそも、神奈川県に対して東京都への本店移転手続き書類を提出しても受け付けられません。)
※商号・代表者・役員等、登記変更を伴う変更事項がある場合
都道府県により扱いは異なりますが、基本的には本店移転以外の変更登記を先に行い、変更届を提出することを求められます。本店移転登記と一緒に行いたいところですが、まずは本店以外の変更登記を行い、変更届を提出した後で本店移転登記を行いましょう。
②東京都に、免許換え申請の書類を提出する。
新しい本店がある東京都にて、免許換え申請の書類を提出します。内容としては、新規申請の書類とほぼ同じです。
なお、新規申請の場合と異なり、加入している保証協会から交付されている「弁済業務保証金分担金納付書」の写し(加入していない場合は営業保証金供託書の写し)の添付が必要です。
加えて、申請手数料33,000円が必要です。
③加入している保証協会の移転または再入会の手続き・本店での面談を行う。
加入している保証協会により、手続きが異なります。
全日本不動産協会(ウサギ)の場合 | 所定の手数料を支払い、登録の移管手続きを行います。 |
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全国宅地建物取引業協会(ハト)の場合 | 都道府県や支部によっては一部割引が適用されますが、基本的には新本店を管轄する都道府県支部へ再度入会する形となります。※弁済業務保証金分担金は引き継がれます。 |
また、新しい本店にて代表者と専任宅地建物取引士が出席する事務所面談も行われます。
これらの手続きは支部により扱いが異なる場合があるので、現在加入している支部へ確認しましょう。
※協会に加入していない場合(営業保証金を供託している場合)は、現在営業保証金を供託している法務局において保管替えの手続きを行います。詳細は供託先の法務局に確認しましょう。
④東京都から免許換え完了の通知ハガキが届き、新しい免許証を受け取る。
免許換え申請が受け付けられてから30~40日程度で、東京都から新しい宅建業免許が発行されます。東京都の新しい本店に免許通知ハガキが届くので、新しい免許証を受け取りましょう。
⑤専任宅地建物取引士資格の、勤務先登録を変更する。
専任宅地建物取引士の方は、資格登録を受けている都道府県にて自身の勤務先を登録しています。勤務先としては同じ会社ですが、宅建業免許の世界では免許番号が違う場合は別会社として扱われます。
この手続きはつい忘れてしまいがちなので、専任宅地建物取引士の皆さんへのリマインドを行いましょう。
免許換え申請中は何もできないのか?
免許換え申請を行っている最中でも、現在受けている宅建業免許は有効のままです。例えば神奈川県から東京都への免許換えを行っている業者さんであれば、神奈川県の本店において神奈川県知事免許番号で営業を続けることができます。
ただし、移転先である東京都の新しい本店での営業はまだ行えません。免許換えが完了し、新しい免許が下りるまで待ちましょう。
なお、免許換えが完了した段階で神奈川県知事免許は失効します。
免許番号は新しくなります!
免許換え申請の結果新しい宅建業免許が下りると、完全に新しい免許番号が(01)で発行されます。これまでの免許番号が受け継がれるわけではないのでお気を付けください。
また、仮に元いた都道府県に本店を戻して再度免許換え申請をしたとしても、これまでの番号に戻ることもできません。
免許換えが完了したら・・・
免許換えにより新しい宅建業免許番号が発行されるので、宅建業免許番号が関わるものについてはもれなく変更が必要となります。代表的なものは専任宅地建物取引士の方の資格登録簿変更申請がありますが、他には次のようなものが挙げられます。
- 業者票
- 従業者証明書
- 従業者名簿
- 名刺
- 会社ホームページ
宅建業免許番号は、国からの営業許可を受けている何よりの証です。会社名や住所、電話番号と同じように、変更の際は確実に反映させるようにしましょう。
まとめ
- 本店を別の都道府県に移転する場合、「免許換え」の申請が必要となる。
- 商号や役員、専任の宅地建物取引士といった重要事項に変更が生じている場合は、免許換え申請を行う前に、現在宅建業免許を受けている都道府県に変更届を提出する。
- 本店移転登記は、商号や役員の変更登記及び都道府県への変更届が完了した後で行う。
- 免許換え申請書類は、新規申請書類とほぼ同じかそれ以上のものを求められる。
- 加入している保証協会についても、移転または再入会の手続きを行う。
- 免許換え申請後手続きが完了するまで、現在受けている宅建業免許は有効のままであるため、引き続き移転前の本店での営業が可能。
- 現在受けている宅建業免許は、免許換えが完了し新しい免許番号が発行された時点で失効する。
- 専任の宅地建物取引士は、新しい免許番号の発行後、自身の個人勤務先登録の変更を行う。
- 免許番号が新しくなるので、業者票や従業者証明書等の記載を忘れずに改める。