宅建業を開業するにあたって、実際に営業を行う場所は大切な要素の一つです。
詳しくは、宅建業免許の申請前に整えておくべき条件のページをご覧ください。
開業する場所としては、オフィスビルの一角を使用して、というのが主流で皆さんもイメージしやすいと思います。実際のところ、オフィスビルの一部屋を借りて開業される方がほとんどです。
※ご自宅での開業をお考えの方は、自宅で不動産業を開業するときに気をつけることは?【自宅開業のメリットとデメリット】のページをご覧ください。
オフィスビルの一部屋を借りて開業した場合のメリット、気をつけるべき点をそれぞれ見ていきましょう。
何事もまず見た目から!オフィスビルの一部屋を借りるメリット
オフィスと名の付くぐらいですから、事務所のような見た目や設備は最初から備わっていることが多いです。
宅建業は事務所にお客様をお招きして重要事項説明や契約締結を行うことも少なくありません。設備がきちんとしている綺麗な事務所を見せることができれば、第一印象で一歩リードできるはずです。
オフィスビルは仕事・接客に使えるスペースとして貸し出されているわけですから、見た目からいかにもお仕事ができそうな雰囲気を出すこともできるのです。もちろん、ちゃんと綺麗にしておいてくださいね。
運良く前に別の宅建業者が使っていた居抜き物件を借りることができれば、最初から宅建業者仕様のオフィスになっているので大分楽になるでしょう。
オフィスビルの一部屋を借りる場合に気をつけるべき点とは?
オフィスビルでの開業に限らず、宅建業を営む事務所として認められるためには一定の基準があります。
間取りについて
東京都の基準を例にとると、一部ではありますが以下のような基準を満たさなければならないとされています。
- 事務所と他の部屋が壁で区切られていて、事務所として独立していること
- ビルの入り口から他の部屋を通ることなく、事務所用の部屋にたどり着けること
- 部屋が事務所として機能していて、事務所以外には使用しないこと
同一フロアーにおいて他の法人等と同居すること、プレハブ小屋やテントといった仮設の建物を事務所とすることなどは、原則として認められていません。
ただし、他の部屋と壁または高さ180cm以上のパーテーション等固定式の間仕切り区切るなどして、事務所としての独立性を有している場合は、認められることがあります。
上記のような基準は設けられているものの、基準はあれど実務上では認められることもあるというのが現状です。こればかりはケースバイケースなので一概には言えませんが、上記の基準を満たしていない場合でも工夫次第でもしかしたら事務所として使用できるかもしれません。
設備について
間取りの条件だけをクリアしても、事務所としての機能を備えていなければ意味がありません。部屋にパソコンを一台だけ置いて事務所と言い張ってもダメなのです。
どのようなものが必要なのか具体例を挙げますと、
- 固定電話番号(※携帯電話番号不可)
- 固定電話機
- 接客用の机と椅子 お客様対応スペースを設ける必要があります。
- 事務用の机 お客様用の机とは別に必要です。
これらは最低限必要となります。コピー機等のオフィス用品もあった方がいいですが必須ではありません。部屋の真ん中に机と椅子を並べ、部屋の隅っこに机とノートパソコンと電話機を置いた部屋でも認められたケースがあります。
逆に認められなかった例、いわゆるNG集を挙げると、
- 部屋の中にベッドが設置されていた
- ふすま一枚で部屋と部屋が区切られており、ドアを使わずに事務所に入れる
- 宅建業とは関係ないゲームや本が多数あり、外見上事務所として見えない
- 実務スペースのみ。お客様との打ち合わせスペースが確保出来ない狭さの部屋
このような事例が過去にありました。
オフィスビルのオーナーさんとの話し合いを忘れずに
借りたからといってあとは好きなように使っていいかというとそうとも限りません。
ビルのオーナーさんによっては、飲食店にしか使ってはいけないとか、不動産業をやってはいけないとか、そもそも居住用にしか使ってはいけないとか、様々な制約を設けている場合があります。
このような場合は、ビルのオーナーさん、または管理組合などに事務所として使うことの承諾を得ておく必要があります。
※東京都で宅建業免許の申請を行う際は、オーナーさんからの承諾が取れているかどうか書面で確認するということはしていません。ですが、だからといって無断で事務所として使用してしまえば契約違反でビルを追い出されてしまうこともあります。
事務所がなければ開業はもちろんできないので、ご自分が借りようとしているオフィスは事務所として使ってもいいのかどうか今一度確認し、オーナーさんや管理組合などとよく相談しておきましょう。