別の本業を行っていて宅建業の支店を作りたいとき注意すべき点とは? 

  • 今やっている事業も軌道に乗ってきたし、そろそろ宅建業にも進出してみよう! 
  • せっかくだから今の本業とは別に新しい事務所を設置して、そこを宅建業専用の支店にしよう。 

このようにお考えの方、実は要注意です。 

宅建業を営む上で支店の扱いというのはなかなか特殊で、しっかりと理解していないと宅建業免許を受けられなくなる場合があります。 

宅建業における「支店」とはどのような扱いなのか、どのような問題があるのか、その解決策は何か、このページで解説していきます。 

宅建業の「支店」を設ける上での注意点とは?

まず、「本店」と「支店」の定義を押さえておきましょう。 

  •  本店 → 会社の登記簿謄本の「本店所在地」に記載されている住所にある事務所 
  •  支店 → 本店以外の事務所 

※正確に言えば、「支店」とは会社の登記簿上に支店の登記がなされている営業所のことを指します。登記がされていない場合は「従たる営業所」という呼び方になりますが、本サイトでは統一して「支店」と表現します。 

当たり前といえば当たり前ですが、本店以外は全て支店だとお考えください。宅建業の免許を申請する際には宅建業を営む事務所の住所が申請事項の一つになっており、会社の登記簿謄本に記載されている本店所在地と一致していなければ支店扱いとなってしまいます。 

支店を設ける上で注意しなければならないのは、支店で宅建業を行えば、本店でも宅建業を行っているものとみなされるという点です。 

本店で宅建業を行っているとみなされるということは、本店で一切宅建業を行うつもりがなかったとしても、専任の宅地建物取引士の用意や弁済業務保証金分担金(または営業保証金)の追加支払いといったことが必要になります。 

(例)東京都の渋谷区に本店を設けている、コンサルティング業を営むA株式会社の場合 

支店が東京都の港区にある 

港区の支店でのみ宅建業を営むとしても、渋谷区の本店でも宅建業を営むものとして扱われます。 

渋谷区の本店も港区の支店も東京都内なので、A株式会社は東京都知事に宅建業免許を申請することになります。 

支店が神奈川県の横浜にある 

こちらも同様に、渋谷区の本店で宅建業をやらなくても横浜の支店で宅建業を行うのであれば渋谷区の本店でも宅建業を行うものと扱われます。 

二つ以上の都道府県にまたがって事務所を設けているため、A株式会社は国土交通大臣に宅建業免許を申請することになります。 

※逆に、本店で宅建業を行うけれど支店では宅建業を行わないという場合は、支店でも宅建業を行うものとみなされるということはありません。 

共通して言えることは、いずれの場合も宅建業を営む事務所が複数存在するものとして宅建業免許を申請しなければならなくなるということです。 

宅建業をやらないのにやるものとして扱われる?

ここまでで解説したように、支店で宅建業を営む場合は本店でも宅建業を営むものとして扱われてしまいます。 

しかし、一切宅建業を行わない本店についても専任の宅地建物取引士を設置するなど宅建業を営む仕様にしなければならないというのはあまり現実的ではありませんよね。事務所を無駄に増やしているのと同じなので、コストを考えてもかなりもったいないです。 

ここでは、事務所を無駄に増やさなくても済むような解決策を提示していきます。 

解決策1:新しい会社を設立してしまう。

宅建業を営む支店としてお考えであった事務所を本店とする会社を新しく設立するという方法があります。弊所にもこの方法でご相談いただく方が非常に多いです。 

本業とは関係のない別法人を設立するわけですから、支店がどうとかそういった制約を受けることはありません。 

会社設立の具体的手続きは、不動産会社設立の5つのポイントのページをご参照ください。 

業種によらず支店を設けると管理が大変なので、この方法をとられる方が多いです。 

注意点 

  • 本店移転よりもコストがかかる。 

今ある会社の変更ではなく、新しく作る手続きを行うので、当然より多くのコストを要することになります。会社設立手続きだけでも25万円ほどかかります。こちらも専門家に依頼をすれば別途報酬等の費用が発生します。 

  • 会社を複数経営する必要がある。 

経営する会社が増えるので、決算等の経営実務は増えることになります。 

解決策2:本店所在地を移してしまう

現在宅建業ではない本業を営んでいる本店の住所から、宅建業を営もうと考えている支店へ本店所在地を移してしまうことで解決を図ります。 

宅建業をやろうとしている事務所を本店にしてしまえば、支店(元本店)で宅建業を行わないことになるわけですから、本店1ヶ所で宅建業を営むスタンダードな形態にできるわけです。 

注意点 

  • 今本店で行っている事業との兼ね合いに注意する。 

本店で行っている事業が、宅建業と同様「支店で行えば本店でもやっているものとして扱う」といったタイプのものであるなど、容易に本店所在地を移すことができるものでない場合には注意が必要です。 

  • 登記の変更にコストがかかる。

本店所在地の変更には1件につき3万円の登録免許税がかかります。法務局の管轄が変わる場合は変更前と変更後それぞれの法務局で1件と扱われるため、合計2件6万円必要になります。支店の登記がされている場合は支店1つにつき更に9,000円必要になります。 

司法書士等専門家に依頼する場合は別途報酬等の費用が発生します。 

解決策3:いっそのこと、本店でも宅建業をやってしまう。 

支店で宅建業をやれば本店でも宅建業を行っているものとされるというルール通り、本店でも宅建業をやってしまうというのも一つの手です。 

注意点 

  • 専任の宅地建物取引士を複数用意する必要がある。

専任の宅地建物取引士は、事務所ごとに宅建業に従事する者5人に1人以上の割合で用意しなければなりません。よって、少なくとも本店と支店にそれぞれ1人ずつ、合計2人以上の専任の宅地建物取引士を用意する必要があります。 

  • 弁済業務保証金分担金(または営業保証金)を多く用意しなければならない。

宅建業を営むにあたっては、弁済業務保証金分担金(または営業保証金)という平たくいえば保険金のようなお金を国に預けておかなければなりません。 

弁済業務保証金分担金の場合:本店60万円、支店1ヶ所につき+30万円 

営業保証金の場合:本店1,000万円、支店1ヶ所につき+500万円 

本店1ヶ所だけであれば60万円(または1,000万円)で済むところ、別途追加でお金を用意しなければなりません。 

  • 「〇〇支店」という名称を支店に用いる場合、支店の登記を行う必要がある。 

そのような名称を用いないのであれば、支店の登記は不要です。 

まとめ 

  • 支店で宅建業を営めば、業務内容にかかわらず本店でも宅建業を営んでいるものとして扱われる
  • 解決策の一つとして、宅建業を営む予定の事務所を本店とする会社を新しく設立する方法もある。
  • 他にも、本店所在地を移し、宅建業を営む予定の事務所を本店としてしまう方法がある。

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