【相談事例】少しでも早くホームページに不動産広告を出して、営業開始までの準備をしたい!

相談者:宅建業の独立開業を検討中の不動産会社社員

宅建業免許を新規で取得し不動産業を始めたいと考えています。
ただ、開業に必要となる宅建業免許の取得には2~3ヶ月程度要すると聞いており、その間にもできる限りの準備を進めておきたいです。

宅建業免許の取得に先駆けて自社のホームページを開設する予定なのですが、宅建業免許が下りるのを待つ間、そのホームページ上で物件紹介を行うことは可能でしょうか。

現職から引き継ぐことのできる案件や、過去に手がけた事例を中心に紹介するつもりです。
もちろん、契約自体は宅建業免許が下りた後で行うつもりです。

回答:行政書士 石井宗信

宅建業免許を受けていない状態で、不動産広告を出すことはできません。たとえ契約行為まで至らずとも、広告を出すだけで無免許営業に該当し、宅建業法違反となってしまいます。

確かに宅建業免許が下りるまで時間がかかるので、その間にできる限りの準備をしたいことでしょう。ですが、宅建業法に違反してしまうことで宅建業免許を受けることができなくなっては意味がありません。

会社のホームページを出すこと自体は禁止されていないので、不動産広告以外の部分を充実させて会社の紹介をすることは問題ありません。

宅建業免許が下りるのを待つ間は不動産広告を出さず、開業に向けての準備はホームページ上での会社紹介や契約行為を伴わない挨拶回り等に留めておきましょう。

宅建業免許を受ける前に不動産広告を出すのは無免許営業と同じです。

宅建業免許を受ける前に不動産広告を出すことは、宅地建物取引業法(宅建業法)において禁止されています。

第12条
2 免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。

※宅建業法第12条2項より抜粋

たとえ新規で宅建業免許を申請している最中でも、免許が下りていなければ宅建業者ではありません。違反した場合、100万円以下の罰金を科せられる場合もあります。

宅建業免許の審査にも影響します。

都道府県庁が宅建業免許の審査を行う際、会社が出しているホームページ等も審査対象となります。

審査段階で不動産広告を出していることが発覚すれば、ホームページの閉鎖等により広告を取り下げることを求められます。悪質と認められれば、宅建業免許の申請そのものが却下されてしまうこともあります。

申請が却下されてしまえば、また一からやり直しです。申請費用の33,000円も戻らないのでもう一度支払わなければならず、審査にも通常と同じくらい時間がかかります。

営業活動の開始を焦るあまり、宅建業法に違反してしまえば余計な時間を要してしまいます。最悪の場合は宅建業免許の取得が認められず、開業自体ができなくなるおそれもあります。

宅建業免許が下りるまでは確かに時間もかかりますが、開業に向けて焦らずできる範囲で準備を進めましょう。

まとめ

  • 宅建業免許を受ける前に不動産の広告を出すことは、宅建業法違反となり認められない。
  • 宅建業免許の審査段階で広告掲出が判明すれば、最悪の場合宅建業免許の申請が却下される。
  • 宅建業免許の申請が却下された後で再申請する場合は、申請費用を再度支払った上、審査にも通常と同じくらいの時間を要する。

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