【士業の方向け】士業の方が不動産業をやりたいときに注意する点 


宅建業免許の取得や変更を代行する行政書士や不動産登記を専門に取り扱う司法書士など、不動産業界と関わることの多い「○○士」、いわゆる士業の皆様の中には、不動産関連の仕事をしていく中で自分でも不動産業を経営したいと考える方もいらっしゃいます。

不動産業に関わるといっても、例えば自分が代表を務めるのか、一般従業員の一人として働くのか等様々な選択肢があります。

今回は、士業の方が不動産業とどのように関われるのかを解説していきます。

士業の方が不動産会社の社長となって宅建業を営むには?

弁護士、税理士、公認会計士、土地家屋調査士、社会保険労務士など、いわゆる士業の方が本業で自分の士業事務所を経営しつつ、副業として不動産業も行いたいというケースは多いです。

士業の事務所とは別に不動産会社を設立して、その会社で宅建業免許の取得を検討するのがよくあるパターンといえるでしょう。

ここで気を付けなければならないのは、宅建業免許を受けるにあたって宅建業の代表者は宅建業の事務所に「専属」でなければならないという点です。つまり、士業の事務所代表を務めつつ別の不動産会社で社長になって宅建業を営む、という形態は原則認められません。

士業の方はほとんどが「個人事業主」として事務所を経営されているでしょうから、個人事業主である士業の方が不動産会社の代表となるにはどうすればよいのか、方法をいくつか提示します。

不動産会社に「政令使用人」を設置する。

「政令使用人」とは、いわゆる「支店長」や「社長代理」の立場にあたる人をいいます。

簡単に言うと、宅建業は「片手間に行う」ことができません。必ず1人は宅建業を営む会社に専属で動ける人員を用意する必要があるのです。
政令使用人は会社法上の「役員」が務める必要はありませんが、宅建業法においては役員と同様の扱いを受けます。

今回の例でいえば、宅建業の代表者が他の事業である士業を営んでいるため宅建業の会社に専属であるとは認められず、宅建業の事務所に専属できるいわゆる「社長代理」を用意しなければならないということです。

この方法であれば士業の経営自体には影響がありませんが、政令使用人を務めてくれる方を探さなくてはならないという点が面倒です。

個人事業主として宅建業免許を受ける。

事例としては少ないですが、宅建業免許は実は個人でも受けることができます。
個人事業主として士業を営む一方で、宅建業免許を受けて不動産業に参入するという方法です。会社でいえば、士業の部署だけだった社内に新しく宅建業の部署を作るという感覚です。

もしご自身が宅地建物取引士の資格もお持ちであれば原則として個人代表兼専任の宅地建物取引士として免許を受けることもできます。
ただし、都道府県によって扱いが異なる場合があるので事前に確認しておくことをおススメします。場合によっては別途専任の宅地建物取引士を用意しなければならないこともあるので気を付けましょう。

一方、士業事務所を法人化して「○○士法人」として宅建業免許を受けることはできないのでご注意を。宅建業免許の審査上でもNGですが、士業法人として他業種の兼業を認められないケースが多いです。

士業の方が専任の宅地建物取引士を務めるのは原則不可能?

宅地建物取引士の資格をお持ちの士業の方も多く、その資格を生かしたいという方もいらっしゃるでしょう。

宅建業を営む上では、事務所ごとに「5人に1人以上」の割合で専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。

どこかの不動産会社に入社してその会社で専任の宅地建物取引士を務めたり、自分で不動産会社を経営して代表者兼専任の宅地建物取引士を務めたりといった方法が考えられますが、「士業をやりつつ副業として」やろうとお考えの方は要注意です。

「専任の」宅地建物取引士と言っている以上、専任の宅地建物取引士は宅建業の事務所に専属でなければなりません。 士業という本業のある人間が不動産会社に勤めたとしてもその会社に専属であるとは認められません。

よって、士業を本業でやりつつ別の不動産会社で専任の宅地建物取引士を務めようというのは原則として不可能ということになります。

どうしても専任の宅地建物取引士を務めたいのであれば士業をストップしなければならないのが原則です。都道府県によっては廃業届等の書類を求められることもあります。

代表者や専任の宅地建物取引士でないなら・・・。

宅建業において他との兼業が認められていないのは、代表者と専任の宅地建物取引士だけです。

宅建業者の役員や従業員として不動産業に携わるのであれば(少なくとも宅建業の側から見る限りでは)問題はないので、手続きがあるのは面倒という方はこの方法をとると良いでしょう。

いかがだったでしょうか。不動産業に携わる方法は実はいろいろあるのです。士業を本業としつつ不動産業界にも関わっていきたいという方にとって参考となればと思います。

まとめ

  • 士業を本業としながら別に不動産会社を経営するためには、原則として不動産会社に政令使用人(社長代理)を立てなければならない。
  • 専任の宅地建物取引士は宅建業者の事務所に専属でなければならないため、士業を営みつつ宅建業者の事務所に勤めることは専属であるとはいえず、専任の宅地建物取引士を務めることは原則認められない。
  • 一般従業員や役員(代表取締役を除く)として不動産会社に勤めるのであれば、士業との兼業は特に問題ない。

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