宅建業免許の要否と取得すべき免許の種類 


不動産業を営むためには、「宅地建物取引業免許」いわゆる「宅建業免許」が必要となります。

宅建業免許は準備期間も含めれば取得までに時間を要するものなので、どのような場合に必要なのか、どこから取得すればよいのか、そういったことからしっかりと理解をしておけば免許取得に向けて良いスタートを切ることができます。

取得すべき免許を間違えていた、そもそも免許を取得する必要がなかった、などという事態になり余計な時間を費やさないためにも、宅建業免許のスタートをしっかり理解しておきましょう。

「宅建業免許」が必要になる場合とは

不動産業、つまり宅建業を営むためには、宅建業免許を取得する必要があります。ここで、まず宅建業とは何かということをしっかりと認識しておきましょう。

宅建業は、正式名称で言うと「宅地建物取引業」です。これを「宅地建物」「取引」「業」という3つのワードに区切って考えてみましょう。

  • 宅地建物・・・土地や建物、いわゆる不動産です。
  • 取引・・・自分の持っている宅地建物を「売買」すること、または他人が宅地建物を「売買」もしくは「貸し借り」することを「仲介」することです。
  • 業・・・報酬を得て、反復継続して行うことです。ただし、一度限りだから反復継続に当たらないわけではなく、継続して報酬を得て行おうとするなら一度目でも反復継続の意思ありと見なされる可能性があるので注意。

上記に該当するものは宅地建物取引業になり、宅建業免許を受けて行う必要があります。逆に言えば、これに一つでも該当しないものは免許を受ける必要がありません。

不動産に関連する実務を大別すると、「売買」と「貸借」、そしてそれを「自ら行う」か「仲介する」かの4種類となりますが、このうち「貸借」を「自ら行う」場合は取引に該当しないので免許が必要ありません。

宅建業免許の要否

自ら行う 仲介する
売買(交換) 必要 必要
賃貸借 不要 必要

宅建業免許が必要ない例

自分が持っているアパートを不特定多数の人に賃貸する(大家さん業)
自分の建物を「貸し借り」しているだけなので、取引に該当せず免許が不要です。
自分が持っているビル1棟を知り合いに売る
一回だけの取引で事業として行っているわけでもないため、業に該当せず免許が不要です。
サブリース業(いわゆる「又貸し」業)
自分が借りている不動産を他の誰かに貸す「転貸(又貸し)」も「貸し借り」と同じものと考えるので、自ら行う分には原則不要です。しかし、業態によっては「仲介」しているものと扱われ、必要になる場合があります。

どの免許を取ればよい?「知事免許」と「大臣免許」の違いとは?

宅建業免許を受けるにあたって、「知事免許」または「大臣免許」という言葉を耳にすると思います。これらの違いはズバリ「誰から免許をもらうのか」というところです。

国からの免許を受けることに違いはないのですが、その免許を出してくれる人が各都道府県知事なのか、国土交通大臣なのかという違いがあります。

どちらから免許を受けるのかというと、それは宅建業を営む事務所の所在地によって決まります。

1つの都道府県内にのみ事務所がある場合 都道府県知事から免許を受ける(知事免許)
2つ以上の都道府県に事務所がある場合 国土交通大臣から免許を受ける(大臣免許)

間違えやすいのが、事務所の「数」は関係ないという点です。

事務所が100ヶ所あってもそれが全て東京都にあれば免許を受けるのは東京都知事からですし、事務所が2ヶ所でも本店は東京都、支店は神奈川県にあるという場合は国土交通大臣から免許を受けることになります。

宅建業を営む事務所の場所 受けるべき免許
渋谷区に1カ所 東京都知事免許
渋谷区に1カ所
横浜市に1カ所
国土交通大臣免許
渋谷区に1カ所
港区に1カ所
東京都知事免許
渋谷区に100カ所 東京都知事免許

繰り返しになりますが、事務所の数ではなく場所であることに注意が必要です。

「ウチは最初から全国展開を狙っている!東京に本店と神奈川に支店を作って大臣免許を取得してしまおう!」このようにお考えの方はお気を付けください。素晴らしいことだとは思いますがあまりおススメはできません。

大臣免許は申請をしてから免許が下りるまで2~3ヶ月程度と、知事免許(1ヶ月程度)と比較してかなり時間がかかります。それまでの間宅建業を開始できないのはもちろんのこと、本店と支店の事務所家賃も払い続けなければなりません。まだ使えないのにです。

また、新規で大臣免許を取得するというのは事例が少なく、審査も厳しくなりがちです。まずは時間のかからない知事免許を取得し、事業が軌道に乗ってから大臣免許への免許換えを行うことをおススメします。

まとめ

  • 宅建業を営むためには国から免許を取得する必要がある。
  • アパートの家主など、一見不動産業のように見えても宅建業免許が不要なものもある。
  • 宅建業免許には知事免許と大臣免許の二種類があり、事務所の所在地によってどちらを取得するかが決まる。
  • 大臣免許は知事免許と比べて取得するまでに時間がかかるので、いきなり大臣免許から取得するのではなく、知事免許からスタートして後々大臣免許に免許換えをするというパターンが多い。

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